「川内原発の安全を考える市民の会」代表で同原発から近い日本基督教団串木野教会(鹿児島県いちき串木野市)の藤田房二牧師は9日夜、本紙との電話インタビューで、7日に鹿児島県議会と知事が川内原発の再稼働に同意したことは、同原発の再稼働を止めさせようと訴えてきた自身にとって「本当に残念なことでした」と語り、「悲しいというか怒りというか情けないというか、もうそういう感じですね」と話した。
鹿児島県議会原子力安全対策等特別委員会(中村眞委員長、15人)は6日深夜、薩摩川内市の九州電力川内原発の再稼働関連陳情を採決し、賛成する陳情を賛成多数で採択した。その後、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は記者会見で川内原発1、2号機(薩摩川内市)の再稼働に同意することを明らかにした。鹿児島の地元紙である南日本新聞などが7日に報じた。
藤田牧師は伊藤知事について、「正しても(伊藤知事は)まともに返事をしてくれなかったりして、それでもう説明はそれで県民が了解をしたということ」にしていたという。
「県(臨時)議会が5〜7日とありまして、自民党の県議団が(県議会で)一番勢力があるもんですから、私どもの地元から出ているのも自民党なんですが、慎重に審議するということだったんですけど、後から考えれば、自民党が絶対多数決だということで、安心しきっていたみたいですね」と、藤田牧師は県議会の状況について述べた。
「最初から鹿児島は地元の市長と市議会が再稼働しないと町の活性化のためには絶対必要だということで、絶対多数で評決し、それから県知事は最初から地元の薩摩川内市の市議会と市長の意見を尊重し、後は県議会の同意を得て自分が判断するということをずっと通してこられたわけですから」と、藤田牧師は付け加えた。
「県議会の意見を聞いてそれで自分が慎重に判断するんじゃなくて、既成の事実で最初から再稼働はするという心の上でやってるわけですから、これだけすごいことがあったので全国で最初に議員も賛成、地元も賛成ということが見え見えだったので、川内が全国で一番に狙われたわけですよね」と藤田牧師は指摘した。
「これが新潟とかじゃなくて、一番最初に川内原発が狙われたのは、自民党の市議・県議が絶対ですから、おごりですよね。それにいくら抵抗しても数で押されたらもう、1日延ばすか2日延ばすかぐらいの違いですね」と藤田牧師は残念そうに語った。
藤田牧師によると、薩摩川内市に隣接するいきち串木野市では、議員たちが反対の決議をする予定だったが、12月の議会で予定していたため、今回の県の臨時議会には間に合わなかった。それでも、いきち串木野市議会は県知事に働きかけをしたという。
藤田牧師は自身が牧師や園長を務めている教会や幼稚園がある串木野が原発事故の影響を受けた場合について、こう語った。「串木野というのは原発から風下で年間8カ月ぐらいこちらに風が吹いているわけです。それで一番近いところは(川内原発から)5.4キロなんですね。ですから川内市よりも被害が、もしものことがあったら、ちょうど(福島第一原発と)飯舘村みたいな関係にあるわけです」
「ですからそのことを市議会も市長も知事に要請したんですけれども、全く無視されたということですね」と、藤田牧師は続けて語った。
さらに藤田牧師は川内原発に関する鹿児島の教会や幼稚園の対応や関心について、「鹿児島なんかも教会があってもあまり関心が・・・。関心というか、幼稚園と保育園がある教会は、キリスト教保育連盟は知事に陳情書を出したんですけれど、それも無視されました。ですけども、やっぱり教会も関心があまり・・・。(薩摩)川内市などはもう幼稚園に九電(九州電力)の職員の子どもたちがたくさん来ているものですから、表立って反対はできないんです。そういう状況です」と語った。「ですから、それぞれの原発立地のされている近隣の教会は関心があるでしょうけど、それ以外はあまりないんじゃないでしょうか」
「教会の人たちには原発についてもっともっと知っていただいて、いのちを守るために闘ってほしいですね」と、藤田牧師は訴えた。