【CJC=東京】教皇フランシスコは26日午前、ニューヨークからフィラデルフィアに移動した。到着後、市内の司教座聖堂でペンシルベニア州の教会関係者とミサをささげた。
説教で教皇は、教会の宣教における信徒の責任感を高めるよう呼び掛けるとともに、女性が教会に与える大きな貢献をより価値付けていくことを願った。
その後、教皇はインディペンデンス国立歴史公園に向かい、1776年に米国の独立宣言が行われた場所である独立記念館を訪問。記念館前の広場でヒスパニック(スペイン語圏系)コミュニティーをはじめ、出身もさまざまな移民たちとの出会いを持った。
教皇は、それぞれが民族の伝統を恥じることなく、アイデンティティーを守り、平和と寛容のある、すべての人の権利と尊厳が守られる社会を、皆で一致して求めていくよう参加者らを励ました。
教皇はまた、カトリック教会聖職者らによる性的虐待の被害者たちと面会し、被害者たちの苦悩に「神は嘆き悲しんでいる」と述べ、「児童への性的虐待という犯罪と罪を、これ以上、隠していてはならない」と語った。
27日、バチカン(ローマ教皇庁)は声明を発表。教皇は、幼少期に聖職者や家族、教師から性的虐待を受けた女性3人と男性2人にペンシルベニア州の神学校で、非公開で面会したことを明らかにした。
教皇はさらに、同州最大規模の刑務所を訪れ、受刑者らと面会した。受刑者らが製作した木製の椅子に座り、祈りと「ありがとう」の言葉で短いスピーチを終えた教皇は、着席している受刑者たちの列まで歩いていき、彼らと握手し慰めの言葉をかけた。
教皇は、フィラデルフィアのベンジャミン・フランクリン公園で数千人のカトリック信者らを前に屋外ミサを行った。このミサは、150カ国余りが参加した「世界家庭大会」の締めくくり。
ミサでは「小さな行動」の大切さを説き、家族に温かい食事を準備したり、就寝前に神に感謝したり、1日の終わりに抱き締めたりといった行動によって、思いやりや愛情は表現できると語り掛けた。
会場には教皇の姿を一目見ようと何時間も前から大勢の人が詰めかけ、保安検査場前に行列を作った。教皇が話し始めると、ざわついていた聴衆が静まり返って説教に耳を傾けた。
教皇は同日夜、「感謝と希望で胸が一杯になった」という言葉を残してローマに向け帰国の途についた。