米郵政公社は今年、宗教をテーマにしたホリデー(クリスマス)シーズンの切手を新たに発行しないことを決定した。同公社は、この決定はあくまでもビジネス上の理由によるものだとし、批判を受けていたことで「宗教的視点に関して沈黙」したいためではないとしている。
同公社の広報担当、マーク・サンダース氏は、宗教的なテーマを扱う新たな切手の発行は今年計画されていないが、同公社は現在、3つの異なる場面を描いた伝統的なクリスマスの切手を販売していると説明した。それらは、2011年発行の「燭台の聖母」(ラファエロ・サンティ画)、13年発行の「聖母子」(ヤン・ホッサールト画)、そして12、13年発行の「聖家族」の3種類。
「前年の販売量から推定すると、宗教をテーマにしたホリデー切手は在庫として5億枚以上あります。一季のホリデーシーズン中に売り上げる量の2倍が在庫として残っているという状況です」。サンダース氏は、米ワシントンに本部を置く保守派ニュースサイト「デイリー・コーラー」に、なぜ今年は新しいホリデー切手を発行しないのかについてこのように答えた。
サンダース氏は先月、今後はホリデー切手を1年おきに発行することを同公社の役員が発表したと述べた。「ホリデーをテーマにした切手を隔年で印刷する当公社の決定は、お客様の必要なサービスをご提供させていただきながらの供給や需要に基づいたビジネス上の決定です」と説明している。
デイリー・コーラーは今月10日、「郵政公社が宗教戦争を宣言か?」 という見出しの記事を掲載した。サンダース氏は、この記事について「正しくないですし、読者を誤解させてしまうでしょう。あたかも郵便局が宗教を題材にした切手を今年は販売しないという意味に取れてしまいます」と言い、「まるで見当違いです」と反論した。
しかし、キリスト教保守派の非営利団体「自由防衛同盟」(ADF)の弁護士マーク・シャープ氏は、同公社の決定は「沈黙と宗教の規制」へ動く政府の方略ではないかと考えている。
シャープ氏は「私たちは、政府が宗教的な見方、宗教的信条や宗教的象徴などに関して口を閉ざし、規制をどんどんかけるようになってきていることを目の当たりにしています」と述べ、今回の同公社の決定は「公共の場から宗教を取り去るための、非常に広範囲な努力の一つの例」だとしている。