米ジョージア州で、信教の自由に関する議案の立法化を求める声に対して、宗教指導者60人が反対を表明した。
ジョージア州議会議事堂で13日、キリスト教保守派らが参加する集会「われわれの信仰を守る」が行われ、宗教指導者たちはこの日、共同文書を発表した。この集会は、消防署長であるケルビン・コクラン氏が、同性愛者についての彼の伝統的な見解を表した本を出版したことに対して、カシム・リードアトランタ市長がコクラン氏の解雇を決定したことを受けて開催されたものだった。
文書の署名者には、キリスト教のさまざまな教派の指導者たちと、同州アトランタ市のユダヤ人集会「ザ・テンプル」の指導者であるピーター・バーグ氏などが含まれている。彼らはナン・オロック上院議員に招かれ、州議事堂で集会を行った。
文書には、「多様な伝統から生まれる宗教の指導者として、信仰の自由は米国人として、最も基本的な権利の一つであると信じています。しかし、信教の自由は、他人を傷つけたり除外する権利とは違います」と書かれている。
その議案はもともと、サム・ティースリー州議会議員によって提出されたもので、マリエッタ・デイリー・ジャーナル紙のインタビューにティースリー議員は、「人々の宗教の自由を必要以上に規制することができる政府の能力自体に規制を置くものである」と語っている。
その議案は昨年、ジョージア州に拠点を置く大企業のコカ・コーラ社やホーム・デポ社を含むビジネス業界から大きな反対に合い、一端はもみ潰されたが、ティースリー州議会議員は、2015年に再度議案を復活させる予定であることを語っていた。
また、元アトランタ消防署長が『Who Told You That You Are Naked?(あなたが裸であると誰が言ったのか?)』というタイトルの162ページにわたる書籍を自費出版した後、今月6日に解任されたことを受けて、その議案への要請はさらに高まっている。コクラン氏の書籍は、過去に犯した罪に対する罪悪感の克服の仕方を男性たちに教えることを意図したものであり、同性愛についての記述は半ページほどあった。
「政治活動を行うクリスチャンのネットワーク」の議長を務めるガーランド・ハント氏は13日、フォックス・ニュースに「これ(コクラン氏の問題)は、政治的にもさまざまな立場の人を一つにまとめる問題です。これは信教の自由についてであり、その人が保守派か自由主義かということではありません」と答えた。
しかし、信教の自由が脅威にさらされているかどうかについては、宗教指導者たちの意見は必ずしも一致はしていないようだ。
地元のフォックス・ニュースによると、ラビ(ユダヤ教の聖職者)であるピーター・バーグ氏は、「一個人の例を取り上げて、ジョージア州の法律を変える必要がある、と訴えることは望ましくない」とも言う。
この文書で60人の宗教指導者たちは、「われわれは、皆それぞれ同性婚に関して異なる見解を持っています。しかし、差別はあってならないことであり、法律の下で平等に保護されるべきだ、ということで一致しているのです」と表明した。また、提出された法案は「公益よりも個人の宗教的な信条に重きを置き」、高額な訴訟問題を招く恐れがあり、法廷と納税者に負担を増やすことになるだろう、とも付け加えた。
さらに、信仰の自由は、米国憲法とジョージア州法によってすでに保証・保護されており、その他の法案は不要であり、逆にそのような法律は、宗教的な異議に基づいて、ビジネスが顧客にサービスを拒否することを許可することにつながりかねない、とも指摘した。
そして、「一般公開されている企業は、同じ条件で誰にでもオープンであるべきであると考えます。宗教や性別などの性質によって従業員を差別する権利を与えかねない宗教の権利を営利企業に与えることに強く反対します。この原則は、公民権運動など、平等と正義に基づいて築かれたこの国の真髄となる価値感なのです」としている。
オロック上院議員は彼らの見解に感謝し、「ビジネス界も宗教界も非常に心配している。このような法律はわれわれに分裂をもたらし、ジョージア州のためにもよいものではない、ということを非常に明確にしなければいけない」と語った。