シンシアはなぜ日本に来たの?
前回はシンシアのお母さんの証しをご紹介しました。今回は、シンシアがどうして日本に来たのか、彼女に語ってもらいました。
神学校在籍中の1年生から2年生に上がる時に、MTW(Mission to the world)の宣教団体から2カ月ですが日本に送り出されました。と言いますのも、神学校のチャペルで、当時すでに日本で牧師をし、宣教の活動をしていたウェイン・ニューサム牧師に出会い、日本に行くことを勧められたからです。日本での短期宣教は大変素晴らしいものでした。しかし、日本での宣教を考えるとき、すでに37歳であった私には、これから日本語を学ぶということはとても難しく、考えられないことでした。スペイン語の勉強をした者として、スペイン語が話されている国を考えていましたから、このことはあまり深く考えないようにし、神学の勉強に身を入れるようにしていました。
次の学期の時、最後の試験を終えてリビングでくつろいでいた私は、突然、とても言葉では表現できない不思議な感覚に襲われ、気が付いたら、思わずひざまずいて祈っていました。それはとても感動的な一瞬で、主は私を日本に呼び戻そうとしておられるのだと感じたのです。そして、日本へ行きたいという強い思いが与えられました。その瞬間から決心し、もう決して迷うことはありませんでした。日本への宣教の思いは明確になったのです。
こんな訳で、シンシアは日本に来ました。その時には気付かなかった何か大きな召しを受けたのかもしれません。それがライフ・ホープ・ネットワーク(LHN)だったのかもしれませんし、それともまだ他のミッションがあるのかもしれません。
何より、このような彼女のミニストリ―が立ち上がった時からスタッフとして加えていただいていることは本当に感謝なことです。ボランティアとして奉仕するためにトレーニングを受けました。それがどのようなものか、LHNのホームページにも下記のように記されています。
ライフ・ホープ・ネットワークは、2005年に開設されたボランティアグループです。思いがけなく妊娠し、出産をしたり、赤ちゃんを育てたりすることはできないと悩む方の相談に応じ、一緒に最善の道を考えます。また、過去の中絶に苦しんでいる方がその苦しみから癒やされるためのお手伝いもします。スタッフは全員ボランティアであり、カウンセリングの専門家ではありません。しかし、アメリカの非営利団体である「ライフ・インターナショナル(LIFE International)」 からカウンセリング・トレーニングを受けた上で働いています。
ライフ・インターナショナルとは、女性たちが予期せぬ妊娠を何とか乗り越えることができるようにとの願いから、(私たちのような)カウンセリング・センターを世界中につくることを支援しているアメリカのボランティア団体です。
このトレーニングを受ける中で一番に飛び込んできた言葉は、カウンセリングテキストの「IBI(Intimacy Before Impact)」、つまり、「人にインパクトを与える前に、神との交わりを深める」という見出しでした。カウンセリングのノウハウを学ぶ前に、神との深い交わりを求め、関係を深めていく。まさにボランティアカウンセラーの学びはこの作業でした。
この言葉がなければ、私はこれほどまでにLHNに強い関心を示さなかったかもしれません。たとえ心理学を学び、あらゆる心理を習得しても、唯一の真のカウンセラーは主ご自身です。命を創られ、命を保ち、またそれを終えるのも主の御心です。その主との強い個人的な関係こそが、相談者の心に寄り添うことができる愛へとつながっていきます。10年経った今も、そのことがずーっと私の心をとらえ、離れることがなかったからこそ続けてこられたのでしょう。
また、LHNの信条としている、マザー・テレサが口癖のように言っていたという「あなたがしてほしいように、他の人に対してもしなさい」との言葉にも引かれました。世界中で「黄金律」として知られているこの言葉は、2千年前にイエス・キリストがおっしゃったことですが、歴史を振り返ってみると、このルールに従った人々によって、世界中でいろんな支援、善意が行われてきました。マザー・テレサもその一人でした。
私たちの小さな、小さな働きはそのような方々の足元にも及びませんが、主が私たちを用いていてくださる限り、LHNを通して示される主のご栄光を味わい続けたいと願っています。マザー・テレサを見習いつつ・・・。
■ ライフ・ホープ・ネットワーク通信: (1)(2)(3)(4)
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塚本春美(つかもと・はるみ)
兵庫県生まれ。1984年三重県四日市市で受洗。家族は夫と子ども3人。2006年、夫の転勤先で現在の本屋ぴりぽのビジョンを主からいただき現在に至る。ライフ・ホープ・ネットワークのボランティアカウンセラー。