日本福音同盟(JEA)は1日から3日まで、ヤマハリゾートつま恋(静岡県掛川市)で第30会総会を開催し、「戦後70年にあたってのJEA声明」を採択した。声明では、戦後、日本の福音派教会が結集した原点として、自由主義神学への対峙とナショナリズムへの対峙の2つの軸があったと説明。JEA設立の経緯や、戦後50年、60年に出した声明を振り返り、過去の罪の歴史と悔い改めの決意を次世代に伝え、聖書信仰に立って神の愛を伝え、実践するとともに、平和をつくりだす者となることを表明した。JEAが4日、公式サイトで発表した。
1968年に設立されたJEAには、日本の福音派の教団や教会、伝道団体など約100団体が加盟している。声明では、JEA設立前にまで振り返り、戦後に日本の福音派教会が結集した原点として、「聖書の規範性と基本教理をないがしろにする自由主義神学との対峙」「戦時下でイエス・キリストだけを主とする信仰告白を弾圧懐柔した天皇制・国家神道体制を標榜するナショナリズムとの対峙」の2つの軸があったと指摘。聖書信仰に立つ聖書学者らによる訳出の聖書として、新改訳聖書が出版されたことや、靖国神社国家護持反対運動などが展開されていったことを説明した。
そして、戦時下、神社参拝という偶像礼拝を犯し、アジア諸国への侵略や加害に加担したとして、悔い改めと謝罪を表明した戦後50年の声明、和解の福音の使者として平和をつくりだす者となることへの決意を表明した戦後60年の声明に言及。一方、その後のここ10年の歩みについては、「それらの言葉の内実を問い、具体化することにおいて十分であったとはいえません。そのことを率直に認め、主の御前に悔い改めを新たにします」とした。
その上で、戦後70年を迎える今年の現状については、自国中心の歴史修正主義が台頭しているとし、ヘイトスピーチや国旗・国歌に関する問題、一部の閣僚による神社参拝の常態化、特定秘密保護法、沖縄米軍基地の問題、集団的自衛権の行使容認閣議決定、現在国会で審議されている安全保障関連法案などに言及。キリスト教界においても、「戦前と同じような日本的キリスト教を標榜し、皇国史観のナショナリズムに迎合するような動きが再びみられるようになってきています」と危機感を示した。
こうした中で、JEAは、▼戦時下の罪の歴史と悔い改めの決意を次世代に伝え、▼人間の尊厳・いのちを脅かし、敵意と争いを生み出す力に抵抗し、神の愛を伝えるとともに自ら生き、愛による平和と和解が実現するように努力し、▼国家と社会に対して聖書の規範性とイエス・キリストの主権性を告白し、国家と教会の正しい関係を示し、▼アジアと世界の諸教会と協力して福音を世界に満たし、和解の福音を生き、平和をつくり出す者となること(以上要旨)、を表明した。