東方諸教会・非カルケドン派の一教派であるアルメニア使徒教会は、同国南西部の都市バガルシャパットにある聖エチミアジン大聖堂の聖トリダット野外祭壇で、アルメニア人大虐殺100周年の日である23日、現地時間の午後5時15分(日本時間午後10時15分)から、150万人ともいわれるその犠牲者たちのための列聖式を行う。
これに先立ち、同大聖堂では現地時間22日午後9時半から、同教会の指導者であるガレギン2世(全アルメニア最高総主教・カトリコス)がこの列聖に備えて前夜祷を行い、同教会の聖職者や同国内のキリスト教会の指導者および公式代表らが参加した。また、同23日午前10時からは、同大聖堂で奉神礼が行われる。
同教会は信者らに対し、「この歴史的な催しのために聖エチミアジン大聖堂へ祈りに来てほしい」と呼び掛けている。
首都エレバンにあるカレン・デミルチヤン運動・演奏複合施設では、アルメニア人大虐殺100周年を記念したグローバル・フォーラムが開かれ、21日からは2日間にわたって、「大虐殺という犯罪に反対する教会:神の賜物である人の命」と題した小フォーラムが開催された。この小フォーラムでは、ガレギン2世が会長を、ビッケン・アイカジアン大主教が議長を務めた。
小フォーラムに参加した総主教たちや35のキリスト教会およびエキュメニカル組織の代表者らは、大虐殺と全ての犯罪を非難し、アルメニア人大虐殺の殉教者たちや人道に対する罪による全ての犠牲者のために祈るなどとした7つの項目からなる共同宣言を採択した。
この共同宣言は、創世記1章27節、出エジプト記20章13節、ヨハネによる福音書1章4節に基づき、「神によって創られ、神に属する命の神聖さと不可侵性についてのキリスト教の真理と神から与えられた戒めに導かれ」、「世界の平和と人々の連帯を確立することを目的とするキリストの教会が持つ聖なる使命を信じ」、「魂の救い、また地上の命を守る使命へと教会が招かれていることを証しする」としている。
この小フォーラムで採択された共同宣言の本紙による日本語訳は下記の通り。
- 私たちは、国籍や宗教、民族、人種による差別に基づく暴力や殺りくは、いかなる正当性や時効も持たないことを再確認する。
- 私たちは、人道に対する悪と罪の表れである、平和と安全保障を危うくするような大虐殺と全ての犯罪を非難する。
- 私たちは、世界で、とりわけ中東において、現在進行中の民族や宗教に関する暴力を非難する。それは痛ましい人間の損失や、宗教的・文化的な諸価値と遺産の取り返しのつかない破壊を引き起こしている。
- 私たちは、全ての大虐殺という犯罪を認識し、それを非難し、その存在の否定を絶対に拒否し、補償の請求を求めるために、将来において同じような犯罪を防ぐことが最も重要であると確信している。
- 私たちは、大虐殺に遭い、そして諸国民の間における人間の尊厳と平和を守るために立ち上がる責務を担う諸国民への支援を提供する。
- 私たちは、諸国民や個人そして善意ある人々の指導者たちに対し、苦しみや暴力から解放された、正義と調和のある世界をつくることに力を加えるよう呼び掛ける。
- 私たちは、アルメニア人大虐殺の殉教者たちと、人道に対する犯罪の全ての犠牲者たちの魂のために祈るとともに、全能の神に対し、世界に平和と正義を確立することを追求する中で、私たちを強めてくださるよう求める。