【CJC=東京】教皇フランシスコが12日、オスマン・トルコ帝国末期のアルメニア人大量殺害を「20世紀最初のジェノサイド(民族大量虐殺)」と発言したことを受け、トルコ政府は、自国の駐バチカン大使を召還した。
トルコ外務省は12日、声明で「教皇は第一次大戦で死亡したトルコ人、イスラム教徒の悲劇は無視して、キリスト者、とりわけアルメニア人の苦しみだけを強調した」と抗議した。今回、トルコが猛反発したのは、迫害100年に際してバチカン(ローマ教皇庁)で開いたミサという公の場での発言だったためと見られる。
バチカンにとってトルコはイスラム諸国との対話窓口であり、イスラム教過激派集団「イスラム国」(IS)対策での重要国。「ジェノサイド」発言は教皇の推進するイスラム教との宗教間対話やバチカンとイスラム圏との関係にも影響を及ぼしかねない。
AFP通信は、「あの事件がジェノサイドだったとはっきり繰り返したのは非常に勇気のある行為だ」とするバチカン専門家のマルコ・トサッティ氏のコメントを紹介し、「ヨハネ・パウロ2世を引き合いに出すことで教会の立場を強調し、本件に関する教会の認識を明示した」と報じた。