アルメニアの正教会の指導者たちは24日、オスマン帝国(後のトルコ)によるアルメニア人大虐殺(ジェノサイド)の開始を覚えて、99回目の犠牲者追悼式典を行い、その史実が認められるよう求めた。世界教会協議会(WCC)がウェブページで伝えた。1915年4月に始まったこの出来事で、150万人以上のアルメニア人が現在のトルコに首都を置いていた当時の世界の大国・オスマン帝国の部隊によって殺されたという。
トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン首相は23日、この出来事の犠牲者たちにトルコの国家元首として初めて哀悼の意を表明した。しかし、トルコはこの出来事をジェノサイドと呼ぶことを拒否している。
レバノンにあるアルメニア使徒教会の全アルメニア総主教(カトリコス)であるガレギン2世と、アルメニア使徒教会のキリキア総主教(カトリコス)アラム1世は、殉教者として苦難を体験した人たちの栄誉をたたえる別々の記念行事の座長役を務めた。
アルメニアでの鎮魂ミサで、ガレギン2世は、その殉教者たちの痛みは彼らが何者であるかということを根拠にして意図的に引き起こされたと述べた。これは、彼らの苦難を第一次世界大戦の間の災難全般の不運な副作用と見なす立場と対立する。
アルメニアの離散者省が運営するオンラインのニュースメディア・プロジェクト「ハイェルン・アイソール」によると、ガレギン2世は「真実の否定は、否定された人たちだけでなく、否定する人にとっても、重荷である。真実は隠すことができるが、決して忘れられたり失われることはない」と警告したという。
一方、アラム1世は、4月にレバノンで行われた国際会議で、世界中のアルメニア人たちが団結した民族として来年の100回記念を行う必要性について語った。
「団結は全てのアルメニア人たちにとっての駆動力とならなければならない」とアラム1世は言う。「アルメニアと全ての離散したアルメニア人たちの諸共同体が、彼らの地域や条件に従って催し物を行うのは明白なこと。しかし我々はこれを汎民族的な催し物にする措置を取らなければならない」アラム1世は、追悼の目標には、この大虐殺の「認定」と過去100年に失われたものを回復することが含まれなければならないと強調した。
昨年4月24日に、ガレギン2世とアラム1世はアルメニア人大虐殺に関する共同声明文を発表するという異例の措置を行い、没収されたアルメニアの教会や教会の地所を返還するよう、トルコに強く求めた。この声明文は、アルメニアにある彼らの教会や離散したアルメニア人たちにとって、重大な問題に関する2人の総主教の声を団結させる訴えとなった。
「1915年、150万人以上のアルメニア人が大虐殺の犠牲者となりました。亡命の途上にあった生存者たちはアルメニア東部や今日のアルメニア、シリア、レバノン、そして他のアラビア諸国や世界の他のいくつかの国々で避難場所を見つけました」と同声明文は述べている。
ガレギン2世とアラム1世は、トルコ政府がアルメニア人の殺害を大虐殺として認め、同政府が没収されたアルメニア人諸教会の教会や財産、修道院や他の遺物を全て返還し、その大虐殺のために被害を受けたアルメニア人たちに補償するよう要求した。
EUや米国を含めて、世界中の各国政府がその殺害を大虐殺と認めているにもかかわらず、トルコ政府はアルメニア人大虐殺を認めたことが一度もない。
WCCは、来年4月24日にアルメニア人大虐殺の100周年記念に関する大きな会議を計画している。昨年10月30日から11月8日まで韓国・釜山で開かれたWCC第10回総会によって可決された覚え書きの中で、同総会はWCCが「アルメニア人大虐殺の認定と補償に関する国際会議をジュネーブで」開くと誓約した。
アルメニア人の諸教会はWCCの加盟教会である。ガレギン2世総主教は、WCCの8人からなる会長団の1人に最近選ばれた。アラム1世は以前にWCC中央委員会の議長として、1991年から2006年までという、最も長きにわたって従事したほか、1997年に来日し、日本キリスト教協議会(NCC)を訪問した。
■ 犠牲者追悼式典を行うアルメニア使徒教会の全アルメニア総主教(カトリコス)・ガレギン2世ら
(動画:アルメニア正教会の公式動画より、2014年4月24日)