先日、地元の育成会主催の研修会が行われました。テーマは「薬物乱用防止と支援」です。1部では、慶應大学の教授と学生による劇と講演が行われ、2部では、薬物依存者をサポートする自助会「日本ダルク」センター長の講演と、日本一有名な薬物依存者・田代まさし氏の体験談が語られました。
薬学部の現役学生たちによるプレゼンテーションでは、薬物乱用の恐ろしさや、なぜ薬物をやめられないかなどを、科学的・医学的に教えてくれました。ダルクセンター長の講演では、自身も薬物中毒者の過去を持ち、キリスト教の司祭がいつも共にいてくれたことで、今日まで支えられてきたという話に心を打たれました。最初は、宗教勧誘が目的じゃないかと思って警戒したそうですが、司祭もアルコール中毒者で、長く付き合ううちに仲間だと分かったそうです。
講演の後半は、田代まさし氏が登壇し、笑わせながら、本音で薬物の恐ろしさを語ってくれました。覚えているのは冗談ばかりで、いつの間にか大笑いしていましたが、真面目な話もしてくれました。
「境遇(自分が薬物依存者であることや、逮捕されて刑務所に入れられ、すべてを失ったことなど)は変えられないが、これからの生き方や考え方は変えられる」
最後に、『マーシーの薬物リハビリ日記』というマンガが発売されるので、私の生活のためにぜひ買って読んで下さい、とのことでした。
また、最後に締めくくりのお話をした副実行委員長の女性は、「自分は牧師の娘です」と前置きをしながら、ダルクの理念となっている「ニーバーの祈り」を引用し、地域の中で、助け合って薬物依存者を支援していきましょうとお話されました。
神よ
変えることのできるものについて
それを変えるだけの勇気を
われらに与えたまえ。
変えることのできないものについては
それを受けいれるだけの
冷静さを与えたまえ。
そして
変えることのできるものと
変えることのできないものとを
識別する知恵を与えたまえ。
O GOD, GIVE US
SERENITY TO ACCEPT WHAT CANNOT BE CHANGED,
COURAGE TO CHANGE WHAT SHOULD BE CHANGED,
AND WISDOM TO DISTINGUISH THE ONE FROM
THE OTHER
助け合うこと、愛し合うこと、赦し合うこと。こういうことの大切さを忘れたとしたら、多くの人の心が病んでいきます。理解し、助け、支えていくことの大切さを考えさせられた時間でした。みなさんとも、支え合っていきたいと思います。
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菅野直基(かんの・なおき)
1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッション等、地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での讃美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式等、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。
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