世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会、宗教者災害支援連絡会、宮城県宗教法人連絡協議会の3団体で構成する実行委員会は16日、TKPガーデンシティ仙台(仙台市)で、第3回国連防災世界会議パブリックフォーラムとして「防災と宗教」シンポジウムを開催した。
WCRP日本委員会によると、シンポジウムでは、大阪大学大学院の稲場圭信准教授が「災害における宗教者の可能性」と題して発題。全国で2000を超える宗教施設が、自治体と災害協定を結んでいる実態を紹介した。また、パネルディスカッションは、国内2人のパネリストと、スマトラ島沖地震(2004年)、ハイチ地震(2010年)を経験した海外からのパネリスト2人が登壇した。そして最後には、災害の予防、被災時の対応における宗教者の取り組みに関する提言文を発表した。提言文は、国連関係者へ送付される予定。
提言文は、1)防災の取り組み、2)災害時の緊急対応、3)復旧・復興期の役割、4)行政との連携、5)開かれた関係の構築、の5項目について提言。「宗教者の本来の災害対応は、悲しみを背負った被災者のために祈り、人々の心に安らぎをもたらすこと」だとし、「祈り、儀礼、弔いなど宗教伝統に基づいた宗教ならではの力が、何よりも災害時において必要とされる」した。
また、東北の地から「臨床宗教師」という言葉や活動が生まれ、広がったことについて触れ、「非常に重要であり、今後に可能性を開くものである」と指摘。そして今後の可能性のためにも、「諸宗教間の対話と相互理解から生まれる叡智を結集することが、一層重要となろう」と記した。
WCRP日本委員会によると、このシンポジウムには宗教者をはじめ、学者、NGO・NPO関係者ら約400人が参加。災害時における宗教者・宗教団体の取り組みを検証し、その意義や役割について考え、今後の災害対応における役割や可能性、課題について議論した。
またシンポジウム終了後には、名取市の東日本大震災慰霊碑建立地で、宗教者による「祈りの集い」を実施。宗教者約100人が参加し、各宗派による形式で祈りをさげ、東日本大震災で犠牲になった人たちの追悼と鎮魂ならびに被災地の早期復興を祈願した。