東日本大震災と福島原発事故から4年。東京・四谷にあるニコラ・バレ修道院では、この2つの悲劇を「4年たっても決して忘れない」というメッセージを広く発信しようと、広域避難世帯の支援活動を続けるボランティア団体「きらきら星ネット」が、避難家族との歩みを紹介する展示会を開催している。
きらきら星ネットは、震災と原発事故の影響で東京に避難してきた家族の日常生活を支えるさまざまなサポートや、彼らとの交流を行っている草の根のボランティア団体だ。主に放射能被ばくから逃れるために、故郷を離れて厳しい避難生活を余儀なくされている母子を中心に支援を続けている。展示会は、その活動を写真を中心に紹介するもので、昨年に引き続き今年で2回目。
同団体の活動は幅広く、勉強広場、ピアノ教室、アロマリング、遠足、さらには、生活相談、生活支援、社会活動など多岐にわたる。写真展では、4年間にわたるその活動が生き生きと映し出されている。特に、子どもたちが野外で元気に遊ぶ姿や、夏祭りの屋台、クッキングスクール、白百合学園との合同クリスマス会など、ボードに貼られた写真には子どもたちの楽しそうな笑顔が満載だ。
しかし、同時に受付に置かれている、避難用住宅の無償期間の長期延長を求める署名は、写真の笑顔とは裏腹に避難世帯が抱える不安を物語る。この署名は、避難用住宅の提供を2016年3月末までと定めている国に対して、無償期間の延長を求めるもの。同団体では、講演会や教会のミサ後などを通して署名と祈りの輪を広げている。
また、現在の避難用住宅自体についても、同団体は大きな懸念を持っている。同団体では、昨年から東京で避難者相談室を開設し、避難者の人たちに直接話しを聞いたり、電話をかけたり、手紙を書いたりしている。その中でよく寄せられるのが、住宅に関することだいう。
スタッフの一人は、4年前に入った時と今では、事情がかなり違っていると話す。「この4年間で、子どもたちは成長したのに間取りはそのままだ」と、避難者世帯の住宅事情を語った上で、「今後も子どもたちはどんどん成長していく。それに備えての住み替えも認めてほしいと訴えている」と話す。
もう一度写真に目を移すと、それぞれの写真には、若いボランティアの姿が目立つ。これは、同団体が次世代のボランティア育成にも力を入れているからだ。毎週月曜に行っている、小学生を対象にした学習支援「勉強ひろば」でも、高校生ボランティアと社会人ボランティアが一緒に子どもたちの自習を指導している。また、8日に開催されたチャリティディも、田園調布雙葉(ふたば)高校3年生の有志と同団体とのコラボで行われた。
チェルノブイリ原発事故の経験からも、原発事故避難者への支援はこの先ずっと続ける必要があると同団体では考えている。今の子どもたちが、20年、25年先、大人になって何か問題が起きたときにも支援できるようにと、今から若い人たちに活動を継承していかなければならないとまで考えている。
同団体では、今後も避難世帯と直接触れ合い、関わり合いながら、行政では手の届かないところに支援を続け、さらに社会的な活動として、署名活動や福島原発被害東京訴訟などの活動を続けていくという。
きらきら星ネットによる展示会は、3月22日(日)まで毎日午前10時から午後6時まで、ニコラ・バレ修道院1階ロビー・廊下の壁面で開催中。入場無料。
きらきら星ネットの活動などについて詳細は下記まで。
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