世界教会協議会(WCC)総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト牧師・博士は16日、バヌアツのサイクロンによる破壊に憂慮と悲しみを表明した。バヌアツなどの太平洋地域にある国々のWCC加盟教会に宛てた書簡の中で、トヴェイト総幹事は同地域の人々と教会のための祈りを伝えた。
13日夜から14日にかけてバヌアツを直撃した大型サイクロン「パム」は、家屋や学校を含め、首都ポートビラにある建物のほとんどを破壊した。16日、国連人道問題調整事務所(OCHA)は、確認された死者数がこれまでに11人になったと発表した。
ラジオ・オーストラリアなどが17日に報じたところによると、この11人の死者の中には、飛んできたがれきにより死んだ十代の少年とその母親、また避難していた教会の壁につぶされた2人の女性が含まれているという。
「この危機の時にあって、私たちを支えることができるのは、神への信仰であり、暗闇の時の中にあっても孤独ではないことを知ることです。私たちは、苦しんでいる人たちのためにあなた方が希望の声となることができるよう祈ります。世界中のクリスチャンがあなた方と連帯して共に立つと確信してください」と、トヴェイト総幹事はバヌアツ・キリスト教協議会に宛てた16日付の書簡で述べ、新約聖書ローマの信徒への手紙8章38、39節を引用した。
トヴェイト総幹事はまた、WCC加盟教会であるバヌアツ長老教会に連帯のメッセージを伝えた。同総幹事はその中で詩編18編7節を引用し、「きっとあなた方の教会は危機に直面し、その建物の多くを失ってしまい、会衆の信徒たちの多くが家を失ってしまったことでしょう。海外からの援助がポートビラに到着する一方で、清潔な水や食料、避難所の必要性は大きくなるでしょうし、そうなり続けるだろうと察しています」と述べた。
「このような時には霊的な慰めやビジョンが不可欠だとも察しています。このような試練の時にあって、世界教会協議会の祈りがあなた方の教会とあなた方の指導者層のためにささげられると確信してください」と、トヴェイト総幹事は付け加えた。
「私たちのキリスト教信仰は希望の信仰であり、復活の確かなしるしの上に築かれたものです。この暗闇の時に、あなた方の教会が、バヌアツでいま苦しんでいる全ての人たちのための希望と力の場所となりますように」と、トヴェイト総幹事は述べた。
同総幹事はまた、国連や地元の政府と教会に対し、サイクロンで破滅した社会が必要とするものに応えるために共に働くよう強く求めた。
バヌアツでは、WCCの協力団体である教会共同行動(ACT)アライアンスの加盟団体、ACTフォー・ピースが、緊急の食料や避難所と水を提供し、この危機に対応しているという。
一方、ACTアライアンスは16日、サイクロン「パム」によってバヌアツで何千人もの人たちが家を失ったと公式サイトで伝えた。その風力は、2013年11月にフィリピンの一部の地域を破滅させた台風「ハイヤン」に匹敵するという。
バヌアツのボールドウィン・ロンズデール大統領は、このサイクロンによってポートビラにある学校や病院など建物の大多数が破壊されたと述べた。ロンズデール大統領はこのサイクロンが気候変動のせいだと非難した。
バヌアツは人口が26万7千人ほどで、65の島々にわたって広がっており、それらの多くは現在、到達不可能だという。
ACTアライアンスは救援団体が離島に到達する一方で、このサイクロンによる死者がさらに急増する恐れがあるとしている。15日には、バヌアツに関するACTアラート(警報)を発表し、間もなく支援のアピールがこれに続くという。
また、聖公会の海外援助団体である「アングリカン・オーバーシーズ・エイド」も同国北部で活動しており、寄付を募っている。そして聖公会支援連盟(アングリカン・アライアンス)も15日、被災者のために祈りと支援を呼び掛けた。
一方、世界メソジスト協議会(WMC)もバヌアツの国民と、先月にサイクロン「ラム」「マルシア」で被災したオーストラリアの国民への祈りと支援を示した。
WMC総幹事のイバン・アブラハムズ監督は声明を発表し、「私たちはアジア太平洋地域で最近被災した人たちのために祈ります。これらの深刻な打撃を受けた地域に素早い援助が行われ、復興の過程を始めることができるよう、そして社会と生活を立て直すことができるよう望みます」と述べた。
WMCはその上で、メソジストであるナザレン教団や、オーストラリア合同教会全国災害救援基金、合同メソジスト救援委員会を通じた支援を呼び掛けた。
世界バプテスト連盟(BWA)も16日、公式サイトでバヌアツのサイクロン被災者のために、バプテストの援助団体「バプテスト・ワールド・エイド」宛てに寄付を呼び掛けた。
この他、日本国内では、日本赤十字社が16日に公式サイトやフェイスブックでバヌアツへの救援に関する速報を発表。また、NPO法人「ツバル・オーバービュー」が、同じくこのサイクロンによる洪水で非常事態宣言を発表したツバルにある学校の復旧作業を支援しようと、同国で被災者の支援活動をしている赤十字社を通じて義援金を送るよう呼び掛けている。
さらに、同様にこのサイクロンで洪水に見舞われたキリバスでも、同国の赤十字社が支援活動を行っているという。