米フリーメソジスト教団の発表によると、同教団の宣教師で、先月末にナイジェリアの犯罪組織と見られるグループに誘拐されていたフィリス・ソーター氏が、無事解放された。ソーター氏の誘拐をめぐっては、身代金として30万ドル(約3600万円)が要求されていた。
同教団のデイビッド・ケンドール牧師は声明で、「ナイジェリア時間6日午後(日本時間同日夜)、ナイジェリアへ派遣されていたフリーメソジスト教団の宣教師フィリス・ソーター氏が無事解放され、当局とフリーメソジスト教団の指導者によるケアを受けています」と明らかにした。
声明はまた、「ソーター氏は犯罪組織によって誘拐されたとみられ、この誘拐がテロや宗教と関連する証拠は見つかっていません。フリーメソジスト教団の指導者は、ソーター氏が無事帰還できるよう祈ってくださった全ての人に深く感謝の意を表します」としている。
ソーター氏は2月23日、覆面をし武装した男たちによって同国中部のコギ州エミウォロにあるホープ・アカデミーから連れ去られ、身代金として30万ドルを要求されていた。しかし、家族は誘拐発覚後早い段階で、71歳になるソーター氏の解放のために要求された身代金を払うことができないと表明した。
「私たちは労働者階級の家庭に過ぎず、お金を持っていません。教会も大きくないので、お金がありません。なぜ彼らは彼女を誘拐したのでしょうか、なぜ? このようなことをする人には支援はなく、ただの卑怯者です」と、義理の息子リチャード・ソーターさんは語っていた。
ソーター氏の解放のために身代金が払われたかどうかは、声明は明らかにしていない。ケンドール氏は、解放についての詳細は公にされることはないだろうとしている。
「私たちのポリシーとして、またフィリス(・ソーター氏)の安全な解放のために尽力してくださった多くの方を守るため、彼女の解放をめぐる尽力についてはコメントしません」
ケンドール氏はまた続けて、「ソーター氏は、宣教の働きにリスクが付きまとうことを承知していますが、リスクと危険のない場所は世界でもほとんどないということも理解しています。彼女は最近、『天国が現実的になりました。生命の保証もなく、神に全き信仰と信頼をおいている時にいる場所以外には、安全な場所もないのです』と話しました」と述べている。
ケンドール氏によると、子ども時代をモザンビークで過ごしたソーター氏は、成人したあと米ワシントン州シアトルで長く暮らし、その後アフリカへ移住した。
「フェイリス氏と夫のジム氏はルワンダに移住し、約6年間宣教しました。フィリス氏とジム氏は2005年にアフリカに戻り、そしてナイジェリアで奉仕しました。2008年10月にジム氏が亡くなったあとも彼女はナイジェリアにとどまり、リーダーシップの発展とフリーメソジスト教団の子ども支援プログラムである『インターナショナル・チャイルド・ケア・ミニストリーズ』(ICCM)の働きのために主に奉仕してきました。そしてまた、コギ州に遊牧民族であるフラニ族の子どもたちのための学校を設立するための、またナイジェリアの農家とフラニ族との間にある長い対立への解決策である、放牧プロジェクトに関する有能な働き手です」