ルーテル教会とカトリック教会による共同文書「From Conflict to Communion」の日本語版が10日、『争いから交わりへ』という邦題で日本でも出版された。副題は「2017年に宗教改革を共同で記念するルーテル教会とカトリック教会」で、同年に宗教改革500周年を迎えるのを前に、ここ50年余りにわたって行われてきた両教会の対話の結晶となる歴史的な文書だ。
この文書を発表した「一致に関するルーテル=ローマ・カトリック委員会」は、ルーテル世界連盟(LWF)とローマ・カトリック教会の教皇庁キリスト教一致推進評議会(PCPCU)が1967年に設置した神学対話のための国際委員会で、毎年継続的に開かれている。この文書は、2013年6月17日に発表されたもので、今日のエキュメニカルな時代に生きる両教会の公式な宗教改革理解であり、マルティン・ルターが提起した神学的主題に関する両教会の公式見解でもある。
「この文書の歴史的振り返りは、『遺産』と同時に『負の遺産』も誠実に見つめようとした努力の結果である」と記されているように、4年間にわたる同委員会の真剣な討議の成果がまとめられている。
同委員会では、「義認」「聖餐」「正典」など、教会分裂を引き起こしたさまざまな神学的テーマが取り上げられ、両教会間での対話が重ねられてきた。分裂を経た2つの教会が、互いの歴史と神学を共に振り返りつつ、これからの未来へと眼差しを向け、宗教改革の真の完成を目指す決意を示した画期的な試みだといえる。
2017年の宗教改革500周年に向けて、新たな「和解と一致」が期待される今日、同書は大きく前進するために不可欠の書であり、宗教改革の本質と今日的な意義をつかむための最適な書だ。
日本カトリック司教協議会会長のペトロ岡田武夫大司教、日本福音ルーテル教会総会議長の立山忠浩牧師が推薦している。
英語の原書「From Conflict to Communion: Lutheran-Catholic Common Commemoration of the Reformation in 2017」は、ルーテル世界連盟がインターネットでPDFとして公開している。
詳細・申し込みの問い合わせは、教文館(電話03・5250・0803、専用ページ )まで。
『争いから交わりへ 2017年に宗教改革を共同で記念するルーテル教会とカトリック教会』:一致に関するルーテル=ローマ・カトリック委員会著、ルーテル / ローマ・カトリック共同委員会訳、教文館、2015年2月10日発行、B6判220ページ、定価1296円(税込)