日本福音ルーテル教会が、昨年公募を行っていた「宗教改革500年記念事業シンボルマーク 」の選考が終了し、同年12月25日に受賞者の表彰式が行われた。優秀賞に選ばれた作品は、坂本信也さんと南端久也さんによる合作。企業ブランドや商品の企画・デザインにコンビで携わってきたという。大阪と兵庫在住の2人に合わせて、表彰式は日本福音ルーテル大阪教会礼拝堂(大阪市)で開催された。
キリスト教会内にとどまらず、一般の公募サイト、公募情報誌でも募集がかけられた今回の公募の応募総数は108作品。教会関係者だけでなく、広く多くの人が関心を持ち、海外からの応募も合わせ、全国各地から作品が寄せられたという。
決定したシンボルマークは、十字架と5色の手をモチーフにしたデザインで、次のような意味が込められている。
【十字架】
十字架はキリストの苦しみのしるし。しかし、それは、神の愛と恵みのしるし。
十字架は、つながりのしるし。垂直には神と人、水平には人と人。
そして十字架は、私たちの希望のしるし。交わる点には希望の灯がともる。
【手】
神の恵みを受け取った手。
それは、感謝と平和を求める心を宿し、導かれて祈りの姿とされる。
そして祈りは、恵みを分かち合うための手とされる。
【色】
5つの色は、全世界。
神の恵みと福音が全世界へと伝えられた歴史を証しする。
500年前に起きた改革の世界史的な意義を思い起こし、世界中で共に記念する時となる。
青の部分だけがおなじみの色とやや異なり、ルーテル世界連盟(LWF)のシンボルマークにも用いられているフェイスブルー(信仰の青)と名付けられた色が使用されている。
ルーテル世界連盟の宗教改革500年のシンボルマークも、十字架と手のモチーフだが、共通性は意図したものではなく、最終的に選考されたものが、LWFのマークと関連性があるものだったという。十字架と手は、宗教改革500年という時に、日本福音ルーテル教会がこの時代とそこに生きる人々に何を伝えたいか、ということを表現している。
同教会の広報担当者は、「私たちが伝えたいのは、ルターそのものではなく、ルターの遺産ともいうべき『神の言葉』への注目です。そして、それは十字架において示された神自身と考えています。また、十字架において示された神を仰ぎ、祈ることは、歴史的にも、世界の平和と和解を求めることでした。それを手を合わせる『祈りの手』で表現しています。加えて、平和と和解を求めることは、手を合わせることと共に、その手を神に用いていただくことでもあります。合わせられた手が開かれて、他者に仕えるために差し出されること、また他者の手と合わせられることにも意義を見いだしています」 と説明する。
シンボルマークの中心には、大きな十字架が配されており、キリスト教に関係なく誰もが使いやすいデザインとは言い難いかもしれないが、キリスト教会の中だけにとどめず、広く一般に関心を持ってもらい、用いられることを願っているという。宗教改革500年を記念するマークは、LWF、ドイツ福音主義教会連盟(EKD) 、日本福音ルーテル教会のものいずれも、インターネット上でダウンロードできる。
16世紀の欧州で起った宗教改革は、1517年10月31日、マルティン・ルターが、ローマ教会に抗議し、ドイツのヴィッテンベルク市の教会に95カ条の論題を打ち付けたことから始まったとされており、2017年はこの年からちょうど500年目となる。
世界各地でも記念行事が予定されており、日本福音ルーテル教会は、推奨4冊の出版を通した活学運動の展開、全国巡回企画の実施、記念大会の開催の3つを記念事業の柱としている。