宗教改革記念日の10月31日、日本福音ルーテル市ヶ谷教会(東京都新宿区)で日本福音ルーテル教会東教区の宗教改革合同礼拝が行われた。礼拝には約180人が参加し、参加者はパイプオルガンの伴奏による豊かな賛美と祈りをもって、2017年に500周年記念を迎えるマルティン・ルターの宗教改革が持つ意味を心に刻んだ。
礼拝では、ゲツセマネでのイエスの祈りの場面が記された、マルコによる福音書14章32〜42節が朗読され、関野和寛牧師(日本福音ルーテル東京教会)が、「踏み出してボロボロになる教会」と題して説教を行った。
関野牧師は、「宗教改革は偉大な修道者が起こした大きなムーブメントではなく、一人のキリスト者が真剣に神に向き合うときに与えられた大きな神の力です。今日ここに集まっている一人ひとりに、この大きな神の力が働きますように。そしてそのイスから立ち上がり、一歩進むとき、皆さんが力強く前に進むことができるように。二歩目で迷って、三歩目で神を忘れても、四歩目でキリストと出会い、誰かにキリストを伝えることができますように、皆でこの夜を祝っていきたいと思うのです」と参加者に語り掛けた。
「全てを治められる父なる神様、この宗教改革の夜、どうぞ私たち一人ひとりの心に、復活の主イエス・キリストの声を響かせてください。ただただあなたの声を聞き、ただただあなたに従い、あなたを多くの人々に伝えていくことができますように、今日ここに集っている一人ひとりを用いてください」と関野牧師は祈った。
礼拝最後の派遣の部では、短い沈黙の時を含めて行われた「教会の祈り」の中で、司式者の市原悠史牧師(日本福音ルーテル甲府教会・諏訪教会)が、宗教改革記念日が日本福音ルーテル教会だけではなく、それ以外の教会にとっても意味ある日だと言い、「どうかこの夜、御言葉に聞き、また祝福を受けて出て行く私たちが、ルターが示した信仰の原点、福音の原点に立ち返って、また新たな思いで、新しい日々に出て行けますように」などと祈った。
後奏の前に東教区長の浅野直樹牧師(日本福音ルーテル市ヶ谷教会)は、「宗教改革という出来事は、およそ500年前のことですが、私たちはそれを記念するために集まっているんでしょうか?もちろん、その出来事を覚えて集っているのですけど、ルターの思いは、『私たちのことを思い出してほしい。私がやったことを覚えていてほしい』、そういう思いではなくて、『改革を続けていってほしい』、そういう思いだったと思います」と語った。
そして、「私たちは、この宗教改革記念日に集まっているのは、ルーテル教会がこれからも改革を続けていく教会として生きていく、宣教活動を続けていく、そのような礼拝を今日私たちは共にできたかなというふうに思えております」と、合同礼拝の感想を語った。
一方、10月31日はハロウィンでもある。「ハロウィンで若い人たちがいろんな服装を着て、本当ににぎやかに過ごしていると思いますが」と浅野牧師。今回の礼拝で若手牧師が説教と司式を務め、神学生ら若者が礼拝奉仕に加わったことについて触れ、「今日の礼拝を皆さんと一緒に守りながら、『彼らこそ日本福音ルーテル教会の改革者だな』、そんな思いを胸にいっぱい抱きながら、喜びの礼拝をいただきました」「私たちの教会に本当に大きな希望があることを確かめることができた素晴らしい時でした」と語った。
日本福音ルーテル教会は宗教改革500周年を記念し、4冊の本を出版することを決定している。1冊目は既刊の徳善義和著『マルティン・ルター ことばに生きた改革者』(岩波新書、2012年)で、2冊目がこの日に発売されたマルティン・ルター著・徳善義和訳『エンキリディオン小教理問答』(リトン、2014年)。今後、3冊目として『アウグスブルク信仰告白』、4冊目として『キリスト者の自由』が出版される。