アジア最大のエキュメニカル運動組織であるアジアキリスト教協議会(CCA)は、10日から12日までタイのバンコクにあるアサンプション大学で開かれた常議員会で、次期総幹事に前世界教会協議会(WCC)国際問題教会委員会(CCIA)局長で元CCA幹事のマシューズ・ジョージ・チュナカラ博士を全会一致で選出した。任期は5年。CCAが公式サイトで11日に発表した。
「CCAの新総幹事の選出のために作られた人事委員会は、1年にわたる活動の中で、徹底した選出作業を行った。7人からなるこの委員会は、この職に応募した、あるいは加盟教会・協議会によって指名された14人の中から候補者を検討し、選出し、面接を行った。人事委員会は最終段階で4人の候補者と面接し、マシューズ・ジョージ・チュナカラ博士を提案したところ、常議員会によって全会一致で受け止められ選出された。全会一致による総幹事の選出は、CCAの58年の歴史で初めてである」と、CCAは同サイトで説明した。
チュナカラ博士はインドのマルトマ(聖トマス)・シリア教会の信徒で、CCAでインド出身の総幹事は初めて。同博士は2010年に現在の総幹事に選ばれたインドネシア出身のヘンリエット・フタバラット・レバング牧師・博士の後継者となる。
CCAによると、人事委員会の議長を務めたニュージーランド・メソジスト教会のプリンス・デバナンダン牧師は、人事委員会を代表して、「彼がアジアのエキュメニカル運動とアジアにおけるその使命、そして神が私たちに奉仕するよう招いておられるところならどこでも、それらを指導し強化する務めを託されていることから、加盟教会・協議会の祈りと支持」があるとして、「そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである」(マタイ5:16)を引用し、チュナカラ博士を称えたという。
チュナカラ博士はアジアと世界レベルにおけるエキュメニカル運動の豊富な経験を持つ。過去30年間に自国のインドやアジア地域、そして世界レベルでさまざまな職位に就いた。2009年から14年まで、スイス・ジュネーブでWCC国際問題教会委員会(CCIA)の局長を務め、それに先立ち、WCCアジア担当幹事(2000〜09年)、香港でCCA国際問題担当幹事(1993年〜2000年)を務めた。
「マシューズ・ジョージはCCAとWCCを通じて、アジアにおけるエキュメニカル教育とリーダーシップ開発、平和と和解、人権に関する提言活動、正義と開発、信教の自由、共同体の調和と発展、そして共産主義諸国にある諸教会と、ベトナム、ラオス、カンボジア、中国、北朝鮮の各国政府の関係養成に大きな貢献をした。同博士は、カンボジアとネパール、そしてブータンという、アジアの3カ国で教会協議会の創立を支援した」と、CCAは公式サイトで伝えている。
チュナカラ博士は、英語と南インドで話されるマラヤラム語で、15冊を超える本を著述・編集した。最近の本には『Called to be Prophetic in the Oikumene; Ecumenism in Asia: Prospects and Challenges(全地で預言者的になるよう招かれて:アジアにおけるエキュメニズム 展望と課題)』と 、『Living Together in the Household of God: Challenges to Pilgrimage of Peace with Justice in Asia(神の家で共に生きる アジアにおける正義を伴う平和の巡礼の課題)』がある。
CCAは1957年に設立された世界で最初の地域的なエキュメニカル組織。101の教団・教派と17カ国の教会協議会・キリスト教協議会が加盟しており、西アジアのイランから東アジアの日本、そして北アジアのネパールからオセアニアのニュージーランドまで、地理的に広大な地域を網羅している。
なお、日本からは、日本基督教団、在日大韓基督教会、日本聖公会、日本キリスト教協議会(NCC)がCCAに加盟しており、チュナカラ博士はCCAとWCCを通じて何度も来日している。