世界教会協議会(WCC)総幹事のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト博士は8日から10日にかけてパキスタンを訪問し、同国内での宗教少数派の保護、宗教的非寛容政策を改善する必要について呼びかけた。
トゥヴェイト博士は3日間にわたって、パキスタン教会協議会(NCCP)本部で超教派の集会を行い、パキスタン長老教会指導者らと共にラホールの祈りの手中央大聖堂での礼拝に参加した。礼拝では、トゥヴェイト博士が詩篇85篇11節「義は天から見下ろしています」の御言葉を引用してメッセージを取り次いだ。またパキスタンの教会によって組織された「試練と困難に満ちた状況で神を見出すには」と題した宣教会議の基調講演も行った。
トゥヴェイト博士はパキスタン訪問最終日の10日、同国ラホールで開かれた記者会見で「パキスタン政府は冒とく法の濫用を通した同国の誰もが、とりわけ宗教的少数派犠牲者となり得る暴力と憎しみ、非寛容の文化に目を閉ざしたままでいるべきではありません」と述べた。
キリスト教徒はパキスタンではヒンドゥー教徒などと同様に宗教少数派に含まれており、同国冒とく法の下に深刻な差別を受けている。今年度は、クリスチャンの閣僚となったシャハズ・バッティ氏も冒とく法により暗殺される事件が生じた。
パキスタンでの滞在期間中、トゥヴェイト博士はパキスタン国内教会、超教派指導者らと会合を行った。パキスタン教会指導者らは、同国の宗教少数派がどれだけ深刻な差別を受けているかをトゥヴェイト博士に打ち明けた。パキスタン国内教会指導者らは、「キリスト教徒の生活は不安の中に置かれています。今日ほどキリスト教徒の生活が脅かされた時代はこれまでになかったと思います。ここ数年で状況は悪化しています」と述べたという。
トゥヴェイト博士は記者会見で、「パキスタン政府はすべての国民、宗教少数派に属する人々を保護するべきです」と述べ、独立パキスタン初代総督ムハンマド・アリ・ジンナーが「あなたがたは自由です。寺院に行くのも、モスクに行くのも、他のどのような場所で礼拝するのもパキスタンでは自由です」と1947年のパキスタン独立の年に表明したことを改めて強調した。
トゥヴェイト博士は、WCC国際諸教会関係委員会ディレクターのマシューズ・ジョージ・チュナカラ博士に同行されてパキスタン訪問を行った。トゥヴェイト博士は今回のパキスタン訪問に関して「パキスタンで少数派のキリスト教徒が信仰の迫害に面している中で、キリスト教ととして同国内で他の人々と平和と調和と保って共存していけるための一致した表明を時宜にかなって行うため」であったと述べている。