ケニアのキリスト教系ラジオ局が27日深夜に乗っ取られ、クルアーン(イスラム教の聖典)の言葉が放送された。
ラジオ局は放送をいったん中止し、3時間後の28日未明に放送を再開した。被害に遭ったラジオ局「ホープFM」の公式フェイスブックには、ラジオの信号が「海外の信号によって妨害された」と書かれている。
「ホープのリスナー、友人、パートナー、お客さま、株主の皆様へ。私たちはここに、皆様の大きな関心に感謝する機会を持ちます。ことの真相を確実に究明するために、全てのことがうまくなされたことを保証します」とメッセージは続けている。
「このことにために電話やメッセージをくださったり、祈ったり、訪問してくださった方々のおかげです。そして私たちの本質として、全てのことに心から感謝します。ローマの信徒への手紙8章28節」
公式サイトによると、ホープFMは、「固いキリスト教信仰を基礎とし」、「ケニアと全世界が主イエスの福音により影響を受け、聖霊の変革する力によって変わる姿を見る」というビジョンがある。ナイロビ・ペンテコステ教会が運営しているが、同教会は2006年、ガソリン爆弾攻撃の標的となっている。この事件では、銃撃により警備員1人が死亡したほか、2人が負傷した。
放送の妨害は、キリスト教とイスラム教について討論する番組が放送された直後に発生したと伝えられている。
27日の乗っ取りは、似たような事件に続いて発生した。英BBCによると、ケニアの新聞「ザ・スター」は先週、公式サイトがハッキング被害に遭い、「テロに関係した文章」が投稿された。
また、中東で行っている作戦を俯瞰(ふかん)する米軍の公式ツイッターとユーチューブ・チャンネルが、12日にハッキング被害に遭った。犯人グループは、イスラム国(IS)の賛同者だと主張している。
このハッキングでは、「米兵たちよ、われわれは迫っている。後ろに気をつけろ。ISIS」という文章が、米中央軍のツイッターに投稿された。
一方、11日には、ケニア人牧師がケニアの湾岸都市モンバサで、武装した戦闘員に銃殺された。襲撃の犯人は過激派グループ「アルシャバブ」によるものとみられている。アルシャバブはソマリアで発生したイスラム武装勢力だが、現在はケニアで活動している。