ケニアでイスラム教を冒とくする印刷物を配布したとして逮捕、起訴されたキリスト教徒が釈放されたことがわかった。釈放されたのは米国人とケニア人それぞれ2人で、首都ナイロビの貧民街で、イスラム教の伝統性を否定してイスラム教徒に不快感を与える印刷物を配布した疑いで逮捕されていた。
原告側が懲役3年または多額の罰金を求刑。被告人の支援団体では緊張が広がっていた。
判決でヘレン・ワシルワ裁判長は 、同国の憲法が信教と表現の自由を保障しており、「個人の宗教信仰に基づいて印刷物を製作、 配布する行為は違法ではない」として無罪を言い渡した。 また、既に配布された4000枚のうち問題となる可能性があるものは300枚程度で、「社会に与える影響はごくわずか」との見解を示した。
ケニアは人口の過半数がキリスト教徒だが、イスラム教徒も 人口の3分の1を占める。今回の事件に関わっている地域では、判決後も緊張が続いていることが地元紙による世論調査でわかっている。
イスラム教徒は近年の信徒数の増加に伴い、少数者の権利拡大を要求する運動を展開したり、デンマークでのイスラム教の風刺漫画や、ローマ・カトリック教皇がイスラムの教義を邪悪としたビザンチン帝国皇帝の発言を引用したことに反発して世界各地でデモを行ったりするなど、世論への働きかけを強めている。