【CJC=東京】教皇フランシスコが、ローマ訪問中のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世との面会を断った。ダライ・ラマは12日に開幕した「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」に参加するため、ローマを訪れた。
バチカン(ローマ教皇庁)報道担当は12日、教皇が「ダライ・ラマを大いに尊敬している」としながらも、中国との「微妙な状況」から面会の予定はないと認めた。ただ報道担当は「教皇はどの平和賞受賞者とも会わない」と強調している。
同サミットは、南アフリカのケープタウンで開催予定だったが、対中関係を重視する南アフリカ政府が、中国への配慮からダライ・ラマへのビザ発給を拒否したことで、他のサミット参加者が抗議し、開催地がローマに変更された。
チベットの「高度の自治」を求めるダライ・ラマを、中国政府は「分離独立主義者」と見なしている。中国のカトリック教会は政府公認の中国天主教愛国会と、教皇に忠誠を誓う非公認の「地下教会」に分かれ、バチカンと中国は司教任命権などを巡り対立している。教皇は昨年3月の就任以来、中国に対して、関係改善のための対話に応じるよう呼び掛けている。
ダライ・ラマが最後に教皇と面会したのは、前教皇ベネディクト16世治下の2006年。