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カトリック正平協勉強会、基礎から学ぶ「日米ガイドライン」 武藤一羊氏「狙いは米の多国籍軍化」

2014年12月13日12時59分 記者 : 廣末智子
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関連タグ:日本カトリック正義と平和協議会(正平協)
カトリック正平協勉強会、基礎から学ぶ「日米ガイドライン」 武藤一羊氏「狙いは米の多国籍軍化」+
戦後の日米関係について持論を語る武藤一羊氏=10日、東京・四谷のニコラ・バレ修道院で

日本カトリック正義と平和協議会(正平協)の「地上の平和」学校(旧・改憲問題学習会)がこのほど、早くから原水爆禁止運動に携わり、核問題について今も現役で筆を執るなど社会運動家として知られる武藤一羊(いちよう)氏(83)を講師に迎え、東京・四谷のニコラ・バレ修道院で「基礎から学ぶ 日米ガイドライン」と題した勉強会を開いた。

武藤氏は1931年東京生まれ。初期の原水禁運動に専従、ジャパン・プレス社勤務などを経て、60年にべ平連(ベトナムに平和を!市民連合)運動に参加した。73年には、アジア太平洋資料センター(PARC)設立に関わり、96年まで代表、共同代表を務めた。98年にはピープルズ・プラン研究所を設立し、現在、その運営委員。近著には『潜在的核保有と戦後国家―フクシマ地点からの総括』(2011)、『アメリカ帝国と戦後日本国家の解体―新日米同盟への抵抗線』(2006)(ともに社会評論社刊)などがある。

勉強会には約30人が参加。日米両政府が今年10月8日にまとめた「日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)」の再改定に向けた中間報告について、武藤氏の話から、その背後に潜む問題を考えようと熱心に耳を傾けた。

日米ガイドラインとは、日本が他国に攻撃されたり、周辺国が有事(戦争)になったときの自衛隊と米軍の具体的な役割分担を決める文書。冷戦下の1978年、旧ソ連の日本侵攻への対応を念頭に作成され、その後97年、冷戦の終了に伴う国際情勢の変化を受けて改定された。今回の中間報告では、集団的自衛権行使のための関連法もできていない中で、「日本の集団的自衛権の行使を反映させる」とし、また、現行の指針にある「周辺事態」という言葉を削除して、自衛隊に世界中で米軍支援をさせる方向性を打ち出している。

はじめに「国家というものには人格がある」と語り始めた武藤氏は、米国について「建前上は民主主義であり、人権を言う。しかし、ひとたび何かあれば非常に恐い顔を見せる。普段は意見が対立しているグループも戦争となるとたちまち団結する。湾岸戦争のときも議会はブッシュ(元米大統領)に鳴り止まない拍手を送った。つまり、ものすごく好戦的だ」と説明。一方、明治維新後、欧州や米国に追いつくために“日本帝国主義”ともいえる膨張路線を取った日本の国家が、敗戦によって国民の目の前で崩れていった過程をあらためて振り返り、「国家とはできたり、つぶれたりするもの。永久のものではない」と強調した。

また「戦後の日本国家は、米軍による占領が続く中ででき、それが今に至るまで残っている」とした上で、現行の日本国憲法について「総枠をつくったのは米国占領軍だが、日本側から幾つかの非常に優れたものもあって、マッカーサーはそれを取り入れた。右派の人たちは米国による押し付け憲法だというが、憲法というのは憲法のモデルとされるマグナカルタが、臣下が王様に押し付ける形で発効されたように、そもそも権力を縛るために人民が押し付けるものだ」と述べ、憲法改正に走ろうとする動きを批判した。

平和憲法の要である9条については「沖縄を米国の軍事植民地化とすることの裏返し。日本国内の非武装は、米国の自武装だ」と位置付け、戦後の米国と日本が「単なる外交関係を保ってきたのではない」と強調。日本がまだ米国の占領下にあった1950年に始まった朝鮮戦争に際し、マッカーサーが国会を通り越してつくった警察予備隊が「実際は米国の後方を固める予備戦力を持つ軍隊であり、その延長戦上にあるのが今の自衛隊だ」と述べた。

カトリック正平協勉強会、基礎から学ぶ「日米ガイドライン」 武藤一羊氏「狙いは米の多国籍軍化」
今年10月8日に日米両政府がまとめた「日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)」について、約30人の参加者が基礎から熱心に学んだ。

さらに武藤氏は、基本的人権、平和的生存権、非武装がうたわれてきた戦後日本で、「決して表には持ち出せない第3の原理があった。それは教科書検定の流れを見ても分かるように、日本が昔やったことはすごい良かったともいえないが、それほど悪いことではなかったという、なんとも潔くない考えに基づく日本帝国継承原理だ」と持論を押し進め、「この第3の原理を表に出した国家をつくろうという運動が権力に上り詰めたのが今の安部内閣。彼らが、“取り戻せ、日本”と訴えているのは、つまり、戦後日本はないも同然だった、と言っているに等しい」と現政権を批判した。

安部晋三首相について「2年足らずの間に49カ国も飛び回るというのは異常。彼の打ち出す積極的平和主義とは英語では、“proactive contribution to peace”と訳され、つまり向こうが何もしなくても自分の方から行動を起こし、征服してでも平定しようということですからむちゃくちゃ。戦後世界のちゃぶ台をひっくり返そうとしているようなものだ」と痛烈に皮肉った。

後に武藤氏は、現在の世界情勢を「米国と中国との太平洋の支配権争いをめぐり、対立と協調とが一緒になってダイナミックに進んでいる。その中で、米国は国力が落ち『日本を使え』ということになっている」と説明。その上で、今回のガイドラインについて、「米国は、日本と韓国を結び付けたい。沖縄の基地は維持したまま、なんでも米国頼みではない、安上がりの多国籍軍のようなものを米国の司令下につくりたい。それが狙いだ」と締めくくった。

参加者からは、「安部政権が、日本を取り戻せ、と言っている意味が分かってびっくりした。多くの若い人たちは何を取り戻すのか分からないまま、響きはいいから乗っかっていると思うと怖い」「全くの非武装ではない方法で平和を求めるという考え方はできないものなのか」といった感想が出ていた。

関連タグ:日本カトリック正義と平和協議会(正平協)
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