【CJC=東京】イエス・キリストがマグダラのマリアと結婚し、子どもも複数もうけていたことを示す新証拠を発見したという書籍が、12日にロンドンで出版された。この新刊『失われた福音』は、ロンドンの大英図書館に収蔵されている古文書と付随の手記2通の新たな解読結果に基づいたものという。
創世記に登場するヨセフの物語が詳細に語られているこの古文書『ヨセフとアセナテ』はシリア語で書かれており、6世紀ごろのものとされている。宗教学者の多くは、この文書は、ユダヤ人の族長ヨセフが異教徒と結婚するに至った理由を説明したもの、としている。
しかしイスラエル系カナダ人のドキュメンタリーフィルム作家シムチャ・ジャコボビッチと、カナダ人学者のバリー・ウィルソンの両氏は、実際にはイエスとその妻、子どもたちの物語を暗号化したものとし、その暗号を解読したと主張している。それによると、マグダラのマリアは「イエスの夫人であっただけでなく、共なる神であり、共なる救世主」であったという。
AFP通信によると、両氏は声明で、「これは、求婚、結婚、子ども、そしてキリストが成し遂げようとしたことが暗号化された象徴的な形で示されている」と説明している。「初期の教会には対立が多かったため、重要な文献は、このような形で隠され、それを破壊しようとする試みから守られていた」のだという。
英国国教会は、筆者らの主張を一蹴している。オックスフォード大学のダイアメイド・マカロック教授(教会史)は、筆者らの主張は「間違った解釈」に基づいたものだと指摘。「彼らは、これがキリストの人生についての寓意(ぐうい)だと言いたいのだろうが、それは違う」と語った。