沖縄キリスト教平和研究所が募金を呼び掛けて購入した沖縄の米軍基地建設に対する抗議船「不屈」が14日、辺野古の海に進水した。同研究所コーディネーターの金井創牧師(日本基督教団佐敷教会)がフェイスブックで伝えた。
「全国のみなさん、ありがとうございました。船名『不屈』辺野古の海へ出ます。命を守るために、基地は絶対に造らせません」と、抗議活動を行っている金井牧師と共に「不屈」の船長を務める山田啓人牧師(日本基督教団うふざと伝道所)が2人で広げた横断幕には記されている。
金井牧師によると、「不屈は重量約2トン。エンジンは船外機で4サイクル115馬力。全長約7mで定員10名です」という。
「今朝8時半から汀間漁港で進水式を行いました。最初は沖縄式で、あとは各自がそれぞれの信仰によって安全を祈りました」と、金井牧師は14日、本紙にメールで伝えた。
金井牧師は山田牧師について、「この4月に宮崎県から赴任してきました。私とは20年来の友人でもあります」と語った。「彼も船長として不屈を操縦します。不屈の募金に関しては彼が九州の諸教会に呼び掛けてくれました」という。
沖縄キリスト教学院大学の沖縄キリスト教平和研究所は、沖縄の辺野古における米軍基地の建設を阻止するための船を購入しようと、8月末から緊急募金を行っていた。「沖縄にこれ以上基地を造らせないためにお力を貸してください」と、同研究所の大城実所長は訴えていた。
その後、募金が目標額の200万円に達し、金井牧師は候補となる船を選んだ後、10月に「不屈」を大阪で購入。同船はその後大阪港から那覇港へと運ばれた。
金井牧師は9月に東京都内で自らが講師を務めた「基地のない沖縄をめざす宗教者の集い」での講演の中で、「イエスは辺野古の現場にいる」と語り、「きょう、こういう形でお目にかかってお会いした皆さんと共に、不屈の精神で、決意した一人ひとりとして、共に進んで参りたいと思います」と、不屈の精神を強調していた。
その際、金井牧師は戦後沖縄の政治家であった瀬長亀次郎氏(1907〜2001)について、「瀬長さんが生涯、生き方の根本にしてきたのが『不屈』なんですね。いま、瀬長さんの次女の方が責任者となって、瀬長さんの『不屈館』という資料館が那覇市内にできています」と説明していた。瀬長氏には、『不屈―瀬長亀次郎日記 』(第1部~第3部、琉球新報社刊)など多数の著書がある。
そして、「瀬長さんの『不屈』、これをやはり今私たちは掲げていきたいなって思っていて、それで今度買わせていただく船の名前を『不屈』にしようと思っています」と金井牧師がその講演で語ると、会場から大きな拍手が沸いた。
「海保(海上保安庁)も呼びづらいでしょうね。『不屈の船長さん、不屈の皆さん』って言わなきゃいけないんですよ」と、金井牧師はその講演会場の参加者とともに笑いながら話していた。