第14回国家晩餐祈祷会(日本CBMC主催)が25日、東京都新宿区の京王プラザホテルで開かれた。全国から教派を超えて教職信徒ら330人が集まり、日本と世界の平和のために祈りをささげた。
この祈祷会は、米国や韓国では大統領が演説するなど、朝餐祈祷会として広く認知され、米国ではすでに半世紀以上の歴史がある。日本では、ビジネス界への宣教を目的とする宣教団体「日本CBMC」が主催して、毎年この時期に開催している。
この日講演した昭和女子大名誉教授の川平朝清(かびら・ちょうせい)氏は、戦後沖縄の平和運動の指導者でキリスト者の阿波根昌鴻(あはごん・しょうこう、1901〜2002年)に触れた。戦後、米軍が島の7割を基地に占拠していた沖縄・伊江島で、「真の平和を実現するには、キリストの説く愛が必要」と訴え、非暴力、無抵抗に徹してその半分を返還させた人物だ。
その伊江島でも、軍用地主はサトウキビ収入を上回る土地代収入を得るようになり、村財政の4分の1は基地周辺対策費、補助金、補償費に依存している。川平氏は、「この状態は原子力発電所のある市町村の状態と全く同じ」と強調した。また、島の基地に昼夜を問わず飛来する垂直離着陸輸送機オスプレイの爆音が住民を悩ませているとの現地の声も伝えた。
川平氏は、米国の朝餐祈祷会で1973年、共和党のマーク・ハルフィールド(Mark Halfield)上院議員が同じ共和党のニクソン大統領の面前で「ベトナムにおける戦争は国家的罪悪であり、恥辱である。速やかに撤兵すべきである」と主張したことに触れ、「政治的すぎる発言と思われるかもしれないが、沖縄出身の信徒として私は訴えます。沖縄普天間飛行場の固定化を防ぐために辺野古に新たに巨大な基地を作る事は罪であり、恥です」と訴え、「この事を権威ある方々に認識していただくよう、私は願いと、祈りと、イエス・キリストによる執り成しと、感謝をささげます」と話した。
続いて、青山学院学長の山北宣久氏、五十嵐義隆ミニストリーの五十嵐義隆氏、日本基督教団総会議長の石橋秀雄氏がそれぞれ登壇し、▼日本と世界の指導者のために、▼被災者の救済と原発汚染、環境汚染や大型災害から地球が守られるために、▼アジア諸国と世界の平和、戦争回避のために祈りをささげた。
最後に、CBMC国際会長のジェームス・D・ファンスタール氏、CBMCアジア会長のキム・チャンソン氏、日本CBMC会長の井上義朗氏が壇上で聖書の上に手を合わせ、日本とアメリカ、そして韓国の調和と協力の実現のために祈りをささげた。
この日は、カトリック大阪大司教の池長潤氏、大和カルバリーチャペル牧師の大川従道氏がそれぞれ開会祈祷、特別祈祷をささげ、来賓として駐日イスラエル大使のルツ・カハノフ氏、駐日ウガンダ大使のベティ・グレース・アケチ・オクロ氏が出席し、挨拶した。また、チェロ奏者のベアンテ・ボーマン、コロラトゥーラ・ソプラノ歌手のオクサーナ・ステパニュック、テノール歌手の又吉秀樹が賛美をささげた。