韓国基督教教会協議会(NCCK)の加盟教団長会議が19日午前、聖公会ソウル主教座聖堂の主教館で行われ、20日のイースター(復活祭)後、4月21日から5月21日までの3週間を、「韓国教会の共同の祈りの週間」とすることを決定した。16日に発生した客船沈没事故により悲劇的な状況にある韓国において、教会が祈りに集中し、また説教においても慰めのメッセージを伝えて行くことを決めた。
現在、今回の事故で多くの犠牲者が出た檀園(タンウォン)高校がある安山(アンサン)市では、客船沈没事故のため、ロウソクを灯しての祈祷会が月、火、木、金曜日に行われており、同祈祷会への積極的な参加も求めた。20日には合同のイースター礼拝が行われるが、礼拝に先立ち犠牲者や遺族らのための特別祈祷会も行われる。また、今回の事故を受け、キリスト教界が社会によく仕えられなかったという反省の意味を込め、「すみません」という横断幕を作り、各教会での祈祷会で用いて行くという。
会議には、NCCKのパク・ジョンドク会長(救世軍司令官)、キム・ヨンジュ総務、チョン・ソンジン書記、大韓イエス教長老会(統合)のキム・ドンヨプ総会長、キリスト教大韓監理教会のパク・ギェファ監督会長職務代行、聖公会のキム・グンサン議長主教、韓国基督教長老会総会のキム・ヨンジン長老副総会長、基督教韓国ルター会のキム・チョルファン総会長らが出席した。
パク・ギェファ監督会長職務代行は、「監理(メソジスト)教会はイースターの後、年会が行われるが、監督らにこの時、哀悼の時間を持つように依頼した」と語った。また、パク職務代行自身が監督する京畿(キョンギ)区の年会は、当初、安山市で予定され、すべて準備も整っていたが、今回の事故を受けて、急きょ開催地を水原(スウォン)市 に移したと明かした。
また、パク職務代行は、今回の事故で、自身が管轄する地域の内4つの地域から、合わせて16人の行方不明者が出ているとし、「今回の事故がとても肌にまで密接に感じる事故で、非常に残念な思いだ」「言葉に言い表せない悲しみが安山にある。安山から祈り、対策委員会を立ち上げ、ろうそく集会を開催したいと考えている」と語った。
キム・グンサン議長主教は、「聖公会の場合、これまでイースターは祭りの時であり、イースター後、教職者は安息研修会を持っていたが、今回はこれをすべて中止にし、教会にとどまることを決めた」と明かした。また、ソウル司教座聖堂の前にある平和の祈りの場を事故被害者のための追悼の場と変え、聖堂前を通る人々が誰でも追悼できるよう献花を用意するという。
一方、前日事故現場を訪れたキム・ドンヨプ総会長は、「(事故に遭った)ノンクリスチャンも慰めるべきだ」と強調した。「今、現場はあまりにも大きな虚無感、また怒りに包まれており、被害者の家族は藁(わら)をもつかみたい思いだ」と言い、「われわれが、まるでクリスチャンだけを慰めるような姿はやめて欲しい」と語った。
会議中には、今回の事故における韓国政府の対応や、マスコミの報道について不満の声が上がった。韓国政府は事故当初、乗船者数の発表を数回にわたって訂正。また、救助された人数も、一時は360人以上が救助されたと発表したが、後に200人以上少ない164人と訂正するなど誤発表が相次いだ。マスコミも、政府発表を鵜呑みにした誤報、被害者への無理なインタビューなどが問題視された。
しかし、キム・グンサン主教は、「救助に当たっている人は、難しく大変な仕事をしながら、こうした非難を受けており、こうした人々を慰めなければならない」「信仰者として、あるいは信仰者でなくとも、(救助に当たっている人々の)良い姿に目を向け、励まさなければならない。非難するだけであれば、その責任は結局はわれわれが背負わなければならない」と指摘した。
また、キム・ドンヨプ総会長は、「政府は(6月に予定されている第6回全国同時地方)選挙のみに関心を持つのではなく、政府レベルで選挙を延期することがあったとしても、救護に集中するべきだ」と語った。
この他、会議では、各教会で捧げられるイースター献金を、犠牲者の家族らのために用いること、NCCKが今回の事故海域近くの教会と合同で追悼礼拝を持つことなどが提案された。