【CJC=東京】教皇フランシスコは10月27日、バチカン(ローマ教皇庁)科学アカデミーの会合で、ビッグバン理論と進化論は、創造の全てを動かしている神の存在を否定するものではないし、神の存在は科学的な諸発見を否定しない、と語った。米カトリック系CNS通信などが報じた。
科学アカデミーは世界各国の著名な科学者、哲学者で構成されており、同月24日から28日までの日程で「自然コンセプトの展開」をテーマに会議を開催した。
「創世記の中の創造の記事を読むとき、私たちは、神が何でもできる魔法の杖を備えた魔術師だと考える危険をおかす。しかし、そのようなものではない」と教皇は述べた。「神は生物を創造し、それぞれに与えた内なる法によって、それぞれが、その真価をするように進化させた」と言う。
「世界の始まりは<混乱>の結果ではない」と教皇は語る。<愛から作られる最高の原理>から直接来るのだ、と言う。「今日、世界の始まりとされるビッグバンは、神聖な創造者の介在と矛盾するものではなく、創造者を必要としている」と教皇は語った。「進化する生物の創造を進化論は想定しており、自然の進化は創造物の概念と対立するものではない」。
科学アカデミー会員の専門家は、この教皇発言を、天地創造に関する偽科学的コンセプトに終止符を打ち、この世界と人類は唯一の創造主によって作られたという理論を終わらせるもの、と受け止めたと見られる。
イタリア航空物理研究所のジョバンニ・ベンヤミン所長は、教皇の説は今まですでにあった説だと語っている。ミラノ大学のジュリオ・ジオレッロ教授(哲学)は、教皇は教会と科学界の間に展開される「ディスカッションの過熱度を単に下げよう」としただけとの見方を示している。