【CJC=東京】教皇フランシスコは10月28日、世界各国の民間運動関係者と接見した。
ローマでは同月27日からバチカン(ローマ教皇庁)正義と平和評議会が主催して、不定期労働者や、インフォーマルセクター労働者、移民、先住民族、小作農業者、都市周辺の貧困地域住民らの生活を向上させるためのさまざまな民間運動に携わる人々の国際集会が開かれた。
バチカン放送(日本語電子版)によると、参加者へのあいさつで教皇は、民主主義を実現し、飢えと戦争をなくし、貧しく疎外された人々をはじめ、全ての人に尊厳を保証することの大切さを指摘した。
教皇は、土地・家・仕事を人々の「聖なる権利」として、「こういうことを言うと、教皇は共産主義者ではないかと思う人がいるかもしれないが、それは貧しい人々への愛が福音の中心であることが分かっていないからだ」「これは教会の社会教説だ」と強調した。
多くの人々が飢えに苦しむ中、食料価格が投機目的で操作されていることを教皇は非難するとともに、農業に従事する家族の尊厳を守ることの重要性を示した。また、都市の華やかな発展の陰で、貧しく苦しむ人々が見捨てられている状況にも言及。全ての人が認められる都市づくりを願った。さらに、若い人をはじめとする多くの失業者の存在を憂慮した教皇は、人間より利益を優先する経済構造、人を消費物のように扱う「切り捨ての文化」に警告を発した。
「世界は父なる神を忘れ、神を脇に押しやることで、孤児となった」と教皇は述べ、キリスト者はイエスの山上の垂訓に代表される福音の精神のもと、「出会いの文化」をもって全ての差別をなくしていくように、いっそうの努力を呼び掛けた。