BFP(ブリッジス・フォー・ピース)ジャパン主催による「東京オープンハイナイト」が5日、お茶の水クリスチャン・センター(OCC)8階チャペルで行われた。
BFPは、イスラエルの人々を愛し、祈り、平和のために活動しているキリスト教団体。本来、一つとなるべきはずであったユダヤ人とクリスチャンの間には、大きな壁ができてしまった。今まで沈黙を保ってきたキリスト者たちに「このままではいけない」と立ち上がったのがBFPであった。1976年にエルサレムで設立。以来、お互いの溝に「平和の架橋」をかけるべく活動している。
日本での立ち上げは1996年。イスラエルにある2つのフードバンクを拠点として、イスラエル全土の人々へ物資支援を行っている。また、霊的支援として、同団体では「ハイナイト」と呼ばれる祈り会を推進。「ハイ」とはヘブライ語で「命」を示し、「ナイト」は、英語で夜。「とりなしの祈り会」を総称して「ハイナイト」としている。現在では、約400近い教会が教派を超え、イスラエルと日本の両国のために祈りをささげている。各教会で行われている「教会ハイナイト」の他、誰でも参加することのできる「オープンハイナイト」を東京2カ所で開催している。
この日、同団体の国際ディベロプメント・ディレクターで、エルサレム本部から緊急来日したシェリル・ハウワー氏は、冒頭に「この小さな国で、クリスチャン人口も少ないこの国で、こんなに多くの方々がイスラエルのために祈り、支えてくださっていることに、現地のユダヤ人はとても感謝している」と話し、「Thank you, Japan(ありがとう、日本のみなさん)」と感謝の言葉を述べた。
イスラエル国内では、パレスチナ自治区ガザを巡るイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘によって、多くの市民が危険にさらされている。現在は停戦しているものの、それまで毎日数え切れない銃弾が飛び交った。そんな中でも市民は、ベランダにテーブルを出し、コーヒーを入れ、朝の一時を楽しむという。「私たちが平常心を失ったら、戦いには勝てない」と。
ハウワー氏は、旧約聖書からクロス(キュロス)王を例に、私たちキリスト者がイスラエルのためにできることを話した。
「主が油を注がれた人キュロスについて、主はこう言われる。わたしは彼の右の手を固く取り、国々を彼に従わせ、王たちの武装を解かせる。扉は彼の前に開かれ、どの城門も閉ざされることはない」(イザヤ45:1)
クロス王は、かつて重要な戦いを勝ち抜いた勇敢な戦士だった。土地を勝ち取ると、その土地の人々の安全を守り、宗教の自由も認めた。「見張り人」を配置して、地平線のはるか向こうから来る敵たちから民を守り、城壁に穴が開くと、「見張り人」自らがそこに入り、穴を埋めて、中にいる民を守ったとさえ言われている。
クロス王は、メッセンジャーでもあった。彼の働きや言葉を通して、ユダヤの人々に神様の愛を証しした。その証しはユダヤにとどまらず、隣国にも及んだ。
ハウワー氏は、「われわれ一人ひとりが、クロス王になることが必要なのではないか。一人ひとりが、働きのために召されている。われわれの戦いは『肉』によるものではなく『霊』によるもの」と話した。
旧約聖書のゼカリヤ書から「彼は答えて、わたしに言った。『これがゼルバベルに向けられた主の言葉である。武力によらず、権力によらず、ただわが霊によって、と万軍の主は言われる」(ゼカリヤ4:6)を取り上げ、「御言葉を通して、訓練し、万軍の主に仕えることが必要」と語った。
また私たちは「見張り人」でもある。祈りを通して、イスラエルの人々を、彼らを滅ぼそうとしている人たちから守るのだ。
時に私たちはメッセンジャーの働きも与えられている。シェルターに避難しているユダヤ人から「なぜ遠く離れている日本の人々がわれわれのために祈っているのか?」とハウワー氏はよく聞かれることがあるという。すると、「神様があなた方を愛しておられるから、日本のクリスチャン達もあなた方を愛しているのですよ」と答えると話した。
世界の状況は刻々と変化し、驚くような時代にわれわれは生かされている。「神様の前で、みなさんと一緒に立つとき、われわれが共にイスラエルや日本の教会のために祈っているのを見て、『日本のクリスチャンよ、よくやった』と主なるイエス様は微笑んでくださることでしょう」とハウワー氏は最後に語った。
その後、「ハイナイト」は続き、イスラエルの人々のために、日本に起きた局地的豪雨のために、またBFPの現地スタッフのためにも祈った。
次回のオープンハイナイトは、10月3日(金)午後2時からOCCで。詳しくはホームページを参照。