NHKが番組内で外国語を乱用し、精神的苦痛を受けたとして岐阜県可児市の高橋鵬二さん(72)が、慰謝料141万円を求めていた訴訟で、名古屋地裁は12日、髙橋さんの請求を棄却する判決を下した。国内各紙が同日伝えた。
髙橋さんは、市民団体「日本語を大切にする会」の世話人で、公共放送という性質から、NHKが外国語の乱用に不快感を抱く視聴者に対して配慮や対策をしていないことは、広い意味での人権侵害だと主張していた。
判決では、放送事業者の編集の自由は放送法によって保障されており、NHKがそれを著しく逸脱しているとは言えないと指摘。不快感を抱くかどうかは視聴者の主観による部分が大きく、NHK側にこうした配慮を求めれば、編集の自由の妨げにつながるとした。
髙橋さんは、理解しずらい外国語の例として、「コンシェルジュ」「コンテンツ」「コラボ」「リスク」「システム」などを挙げていた。
中日新聞によると、髙橋さんは名古屋市内で開いた記者会見で、「判決に大きな期待はしていなかったが、裁判所が理由の中で乱用の問題を指摘しなかったのは残念だ」とコメント。しかし、賛同の声が多くあったとして、一石を投じられたと感じると語ったという。