台北郊外で建設中の第四原発(新北市)の建設中止を求め、22日から台北にある台湾基督長老教会義光教会で無期限のハンガーストライキを行っていた台湾の民主活動家で元民進党党首の林義雄氏は、その後体調を崩したため、28日午後4時に友人によって台北の国立台湾大学病院に運ばれ、現在治療を受けている。台湾長老教会が同日に発表した。
台湾では原発廃止を求める声が高まっており、台湾などのメディアによると、台北市内でここ数日、原発に抗議する大規模なデモが行われる中、馬英九総統は27日、建設の凍結を表明した。
台湾基督長老教会は、林氏の健康と民主主義の実施、第四原発の建設停止、自由で民主的な核のない台湾のために祈るよう呼びかけている。
台湾基督長老教会は1992年に、「原発は完全に安全ではないので開発すべきではない」「核廃棄物は適切に処理できないから原発は使用をやめるべきだ」「台湾はエネルギー政策を見直し、安全でクリーンな代替エネルギーを開発すべきだ」「国民の生活様式を変え、省エネルギーを促進する」とする反核宣言を採択している。
また、台湾基督長老教会総幹事の林芳仲牧師は、林氏の断食行動に応えて、同教会総会の第59回年会で、1992年の反核宣言を再確認するとともに、同教会の全長老に対し、同教会全体に対し、反核公民投票のための100万人署名と黄色いリボンを着用する運動に参加するよう呼びけている。
25日には、同教会総会議長の羅仁貴牧師が林義雄氏の反核行動に対する支持を表明。林芳仲総幹事も同日、羅議長との連名による、林氏の無期限断食に関する台湾基督長老教会の緊急声明を採択したことを明らかにしていた。
この声明には、林氏の無期限断食が70時間を過ぎ、同氏の生命と健康への重大な影響が危ぶまれるとしたうえで、林氏が同教会による生命の尊重に基づいて、台湾の地を愛し、台湾の人民の安全を憂慮し、原発建設に断固反対し、郷土の信仰を愛していることを同教会が理解するとともに、同教会が生命を救おうとする林氏の訴えにすぐに応えると述べられている。
「私たちは、政府当局に対し、林氏の健康状態と生命を犠牲にする崇高な行為を直視し、台湾の2300万人の生命と安全に関心をもち、林氏の訴えにすぐに応えて、原発建設を停止するよう、強く訴える」と、同声明は記している。
また、25日には林氏のための祈祷会などが複数の地域で行われた。
そして、27日、国際的な反原発運動団体のNPO法人「ノーニュークス・アジアアクション」事務局長でクリスチャンの崔勝久氏を発起人に、福島第一原発で過酷事故を起こした原発メーカーを提訴している「原発メーカー訴訟の会」から、「林義雄さんへ敬意と連帯のメッセージ」が林氏に直接手渡されることになった。このメッセージには、「原発体制を問うキリスト者ネットワーク」(CNFE、千葉県松戸市)など8つの団体と、クリスチャンを含む135人の個人が賛同している。