首都圏の諸教会が協力して毎年開催している「首都圏イースターのつどい」(同実行委員会主催)が27日、東京都新宿区のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会で開催された。今年で52回目を数える歴史ある集会で、今年はジャパン・カルバリー・クルセードの巡回伝道者である福澤満雄氏が、「逆転の人生」と題してメッセージを語った。
集会冒頭では、高木康俊実行委員長(蓮根バプテスト教会牧師)が、「21世紀の新しいリバイバルの夜明けのためにおいで下さいました。大いなる力を受けて、それぞれの教会、また自分の家庭や職場に帰っていただきたい。そのようなイースターのつどいだと信じています」と挨拶。その後、救世軍のジャパン・スタッフ・バンドとタンバリン隊による演奏とダンス、協力教会有志の合同聖歌隊によるハレルヤ・コーラス、ゴスペルシンガーの向日かおりによる賛美が続いた。
「首都圏イースターのつどい」が初めて行われたのは1963年。会場は新宿の伊勢丹デパートの屋上だった。テレビ・ラジオ放送による伝道活動を行っている太平洋放送協会(PBA)が、ラジオの聴取者を集め、決心の場にするために開催したのが始まりだった。初めは「連合イースターのつどい」として行われ、その後「都民イースターのつどい」「東京イースターのつどい」と名称を変えつつ、現在の「首都圏イースターのつどい」として半世紀以上も続いている。
今年メッセージを伝えた福澤氏は、2006年の第44回でもメッセージを伝えており、今年はヨハネによる福音書20章19〜29節からメッセージを伝えた。
聖書には、イエスが復活した後、戸に鍵をかけて家に閉じこもっていた弟子たちの姿が描かれている。福澤氏は、この弟子たちの姿について、弟子たちの中にイエスを裏切ってしまったという「心の傷」があったからだと語った。一方、酒乱の父がいる家庭で育ったという福澤氏は、暴れる父のために近所の警察に駆け込んだことや、母に乱暴する父をとっさに殺そうと思ったことなど、幼い頃に経験した自身の「心の傷」についても明かした。
「心の傷」を持ちつつ福澤氏は中卒で就職するが、「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう」(マタイ11:28)と書かれた張り紙を見て、17歳の時、職場で行われていた聖書研究会に行くようになり、18歳でイエスを信じて救われる。そして、家族の反対を押し切って会社を辞め、神学校に入学。しかし、神学校3年生の時、父が脳溢血のため54歳という若さで亡くなってしまう。
病床の父から涙で「父さんが悪かった。ゆるしてくれ」と謝られたという福澤氏は、「子どもにとって、父親から『ゆるしてくれ』という言葉を聞くことはすごい癒しです」と語る。父が謝り、自身も父をゆるし、すべて和解することができたと言う。しかし、それだけでは「心の傷」は完全には癒されなかった。木刀を持って追いかけてくる父の夢を見ては、夜うなされることが、50歳になっても続いたのだ。
しかし、ある夜、父の夢でうなされて起きた際、妻に過去の「心の傷」を打ち明けた。妻はオリーブ油を塗って涙ながらに祈ってくれたという。その後、不思議なことに父の夢は全く見なくなった。
イエスは、十字架にかかって死に、復活した後、傷跡のある手とわき腹を弟子たちに見せるが、この傷は一体何を意味するのか。福澤氏は、イザヤ書53章5節の言葉「彼(イエス)の受けた傷によって、わたしたちはいやされた」を引用。「それ(イエスの傷)は私達を癒すための傷です」と語った。
「どんな過去があっても大丈夫です。どんな傷がまだあったとしても、主は必ず神の時が来た時に癒して下さいます。そして、私たちに本当の喜びを与えて下さいます。イエス様の十字架によってゆるされない罪はこの世界に一つもありません。イエスの血は全ての罪から私たちをきよめて下さいます」と、どんなに深い「心の傷」をも癒すイエス・キリストを語った。
4年前、福澤氏は再び父の夢を見たという。しかし、それは、酒を飲んだ父でもなく、木刀を持った父でもなく、若く、両手を広げ、「満雄、大丈夫か」と尋ねる父だった。「生まれて初めて父からそういう言葉を聞きました」「おいおいと泣きました。父は夢の中で初めて私を抱きしめてくれたのです」
最後に、「弟子たちの隠れ家にイエス様が入ってこられ、彼らに手とわき腹を見せ、平安があなた方にあるようにと言われたように、今日もそのイエス様が入ってこられ、皆さん方の前に手とわき腹の傷を見せ、シャロームとおっしゃっています」と福澤氏。現代においても平安を与えられるイエス・キリストを語った。