世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事は、15日に発表したイースターの書簡で、暦が異なる東方教会と西方教会が今年は同じ、4月20日にイースターを祝うことから、今年を「復活についての共通の証をする機会」と呼んだ。
「世界におけるキリスト教徒の一致と共通の証のために、それは毎年起こるべきことだ」とトゥヴェイト総幹事。WCC加盟教会に対し、「より大きな決意を持って、この祝祭のための共通の日の認定に向けた道を前向きに探るべく前進し続ける」よう訴えた。
トゥヴェイト総幹事は、1997年にシリアのアレッポで行われた会議が、「この祝祭中の祝祭(イースター)を異なる日に祝うことによって、教会は使徒的な信仰が持つ根本的な側面に対して分裂した証を行っており、福音を世界にもたらす上で自らの信用性と効果について妥協している」と警告したことを、加盟教会に思い起こさせた。
各地の人々に祈りを捧げつつ、トゥヴェイト総幹事はとりわけ、シリアや中東、ウクライナ、南スーダン、ナイジェリア、中央アフリカ、といった地域のための祈りに言及した。
書簡の全文(日本語訳)は次の通り。
わたしたちの主イエス・キリストの父である神が、ほめたたえられますように。神は豊かな憐れみにより、わたしたちを新たに生まれさせ、死者の中からのイエス・キリストの復活によって、生き生きとした希望を与え・・・(ペトロの手紙一1章3節)
親愛なる姉妹兄弟たちへ
キリストは復活されました!実に復活されました!
イースターの主日につながる聖週間という、キリスト教の暦で最も重要な週の間にあって、私は世界教会協議会を代表して、皆様にご挨拶申し上げます。今年は私たちに、イエス・キリストの福音を共に祝い、私たちの主がなさり言われたすべてのことを意識的に覚えるための特別な機会をもたらしてくれます。
「復活の光のうちに生きること―それがイースターがもつ意味です」
このの言葉は、1944年の春にディートリッヒ・ボンヘッファーによってドイツの監獄の独房で書かれた言葉です。友人に宛てた手紙の中で、この若い神学者であった良心の囚人は、私たちの生活で最も必要なのは「今日の世界を活気づけ洗い清めるキリストの復活」だと述べたのでした。
イースターの出来事における神の自己啓示は、あがないや解放、そして宣教と奉仕に対する私たちの責務の知らせを広めるための招きとして、私たちに示されています。私たちは空の墓を最初に見つけた女性たちのことや、キリストが実に復活されたということを弟子たちに知らせる彼女たちの熱意を思い起こします。
古代の伝統が教えているのは、イエスの復活が新しい始まり、神が被造世界を新しくしてくださることを喜ぶ機会のしるしであるということです。今は亡き正教会の神学者であるアレクサンダー・シュメマンは、次の教えを残しています。「神はこの離別や死ぬこと、廃墟や腐敗のためにこの世を創られたのではない。復活はこの世を元の美しさと全体性のうちに再創造することだ」
2014年に、キリスト教の東西双方の伝統の諸教会がイースターを4月20日という同じ日に祝います。これは素晴らしいことですし、復活について共通の証をする機会です。世界におけるキリスト教徒の一致と共通の証のために、それは毎年起こるべきことです。
けれども目に見える分断がこれらの諸教会の生活の中に残っており、そのうちの一つは毎年イースターの日付をどうやって定めるかという歴史的な対立です。異なるアプローチの背景には正直な不一致がある一方で、1997年3月にシリアのアレッポで開かれた数多くの諸教会による会議はこう警告しました。「この祝祭中の祝祭を異なる日に祝うことによって、教会は使徒的な信仰が持つこの根本的な側面に対して分裂した証を行っており、福音を世界にもたらす上で自らの信用性と効果について妥協している」と。2014年のイースターに照らし合わせて、より大きな決意をもってこの祝祭のための共通の日の認定に向けた道を前向きに探るべく前進し続けましょう。
共通のイースターの日のためのアレッポの勧告から17年後、アレッポの情勢自体が、諸教会は共通の証と奉仕そして平和構築のための自らの能力を大きくしなければならないと、さらに警告をもたらしています。2013年4月22日に、今日まで行方不明である私たちの親愛なるヨハンナ・グレゴリオス・イブラヒム主教とポール・ヤジギ主教という、アレッポの2人の正教会の大主教が誘拐されてから1年が近づくにつれて、私たちは苦しみ嘆いている全ての人々のために、拉致され投獄され負傷し、あるいは殺された全ての人々のために祈ります。
このイースターにおける教会の共通の祈りは、私たちが、中央アフリカやナイジェリアそして他の場所における暴力の終わりのために、南スーダンにおける持続可能な平和のために、天災や人災の両方の惨害に苦しんでいる地域の人々のために、そしてウクライナにおける緊張の平和的で非暴力による解決策の発見のためにも祈る一方で、正義と平和のために闘っている全ての民族のために、私たちが平和と一致のしるしとなりますようにということです。
私たちの祈りはどこの人々や国々のためでもあり、それは、「義の太陽が昇る。その翼にはいやす力がある」(マラキ書3章20節)という預言が成就されたという、素晴らしい福音についても同じです。イエスの愛が私たちの心の中に輝き、全世界を喜びのうちに変えてくださいますように。
三位一体の神、父と子と聖霊の名によって
WCC総幹事
オラフ・フィクセ・トゥヴェイト牧師・博士※ 英文原文はこちら。