【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は1月30日、聖座財務情報監視局長のアッティリオ・ニコラ枢機卿(76)の退任を発表した。教会の財務を10年以上取り仕切ってきた枢機卿の引退は、フランシスコ教皇の組織改革に沿った人事と見られる。
ニコラ枢機卿は2002年から教会保有の不動産などを管理。07年から13年までは、バチカンの資産を管理・運用する宗教事業協会(バチカン銀行)の監視委員を務めていた。
世界中からの寄付など約60億ユーロ(8400億円)にのぼるとされる同銀行の資産は、保守政治家やマフィアのマネーロンダリング(資金洗浄)の抜け道だったと指摘されている。イタリア当局も同銀行を捜査している。
教皇は15日、同銀行の監視委員である枢機卿5人のうち4人を交代させている。国際的な監査法人による監査も進行中。
聖座財務情報監視局は、マネーロンダリングとテロリズムへの資金供与防止の国際的取り組みにバチカン市国が協力するため、バチカン市国および教皇庁の財務情報を監視する独立機関として、2010年12月30日付の教皇ベネディクト16世の自発教令により設置された。