一生懸命歩きつづけてようやく九十里まで到達すると、「あと十里だ、もう到着したも同然だ!」と思って安心してしまいます。ところが、いったん気持ちがゆるんでしまうと最後の十里を歩きつづけることができません。途中で障害が出てくると、それを乗り越えることができず、ゴールを目前にしてあきらめてしまいます。それまでの労苦はすべて水の泡です。
訴訟の判決直前や契約交渉の最終段階で、「99%大丈夫です! もう心配はいりません」と言ってしまうことがあります。でも、最後の1%が非常に大切なのです。油断していると、それまで隠れていた問題が一挙にクローズアップしてきて、逆転敗訴、交渉決裂になることがよくあります。
99%は「未完成」または「不完全」の段階です。100%になって初めて、「完成」または「完全」の次元に到達します。未完成の作品では公開できません。不完全な製品では販売できません。
ふつうに努力すれば、誰でも99%までは到達します。でも本当の勝負はそこから始まります。「未完成」から「完成」へ、「不完全」から「完全」へ向けての「質的大転換」を引き起こすべく、最後の力をどこまで出し尽くすことができるかにかかっているのです。
佐々木満男(ささき・みつお)
国際弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。インターナショナルVIPクラブ(東京大学)顧問、ラブ・クリエーション(創造科学普及運動)会長。
■外部リンク:【ブログ】アブラハムささきの「ドントウォリー!」