日本の救いのために教派を超えてキリスト者たちが祈る「断食祈祷聖会2013」(同実行委員会主催、日本福音同盟(JEA)協力)が14日、東京都新宿区の東京中央教会で開催された。同実行委員長で蓮根バプテスト教会牧師の高木康俊氏は開会礼拝で、「日本は神様の大いなる御業がなされる夜明け前にある。義の太陽であるキリストの聖霊による輝きに照らされた東雲を見ている」と語った。また、「神の都とはキリストの教会である。神の神殿とは、クリスチャン一人ひとりであり、一人ひとりに神の愛を実現する力がある」と述べた。
東雲のように神様の栄光が照らし出される時が来ている
高木氏は、神の名によって祈る集会が日本で衰退し、教派を超えた働きに集まる人々が減少していることを指摘し、「その中でも残って祈る人たちは、本当に自らを捧げていく一人ひとりと言える。教会という大きな建物や富より重要なことは、神の神殿といえるようなキリスト者が生み出されること」と説いた。さらに、「どんなに人が集まっていても、一人ひとりが霊的な神殿、器となっていなければならない。霊的な神殿として共に祈り合う群れこそ、神の都をなすことができる」とし、「輝くばかりの大空を照らす東雲のように神様の栄光が照らし出される時が来ている」と語った。
開会礼拝に続いて、JEA総主事の品川謙一氏が「日本の教会の現状」と題して講演した。
品川氏は、日本の教会数とクリスチャン人口の割合について、「8千件ほどの教会が存在しており、クリスチャン人口は0・8パーセントほど。戦後30年で約2千件の教会が6千件くらいまで増加したが、90年代に入ってから横ばいになった」と説明した。一方で、「日本という土壌の中にくさびを打ち込もうという祈りが捧げられ、さまざまな伝道の方策が考えられている」とし、「ある意味、日本の牧師先生たちほど真面目に主に捧げ切って仕えている方はいないのではないかと思う。アジアの兄弟姉妹からも言われる」と話した。
日本のクリスチャンや教会が増えない現状については、「何かがうまく流れていないという実感を持っている」と述べたうえで、イザヤ書55章6節から11節を引用し、「今日東京に雪が降った。神様が降らせた雪、雨は必ず地を潤して、作物を生い茂らせ、糧を与える。必ず成し遂げられるという約束がある」と語った。
主の思いと自分の思いは異なる―自分が砕かれていない姿はないか?
イザヤ書55章8節には、「わたしの思いは、あなたたちの思いと異なり、わたしの道はあなたたちの道と異なる」とある。品川氏は、「(主の思いではなく)自分の計画に捉われ、自分が砕かれていない姿がないか。私はその視点に気づかされたときに、悔い改めて祈らされた」と語った。
品川氏は、「神様が主語であるのに私たちが邪魔してはいないだろうか」と問い掛け、「主の思いは私たちの思いと大きく異なっており、主の御心がどのように実現されるのかは私たちにはわからない」と説いた。また、「今日雪が降ったことに感謝している。(降雪は)人間にとっては障害であるが、主のご計画はむしろ私たちに嫌なことを示される。私たちの思いや計画で曇ってしまった心ではなく、主が降らせてくださる雪をしっかりと受け止めるまっさらな心、魂となることができれば、そこから主が大地を潤し、芽を出させるだろう。芽はちょっとした土の上に生える。それが伸びて、やがて実りが与えられるだろう」と話した。
震災直後にJEA総主事に就任して以来、東日本大震災の復興支援に携わってきた品川氏は、「私たちが思いもしなかったような状況が、あの場所(被災地)で形づくられている。この1年10カ月という期間を通して神様が御業をなさっておられることは確か。主の御言葉に忠実であるならば、主が望むことを必ず成し遂げられると信じている。まさに主はその御業をこの地にしておられることを感じる」と証しした。
時は満ち、神の国は近づいた
品川氏は、マルコの福音書1章14、15節を引用し、「『悔い改めて福音を信じなさい』ということは福音派のクリスチャンがよく知っている。十字架の愛、贖いの御業のゆえに、悔い改めて人生の方向転換をして福音についていく。福音派の諸教会はずっと始めからこのことを伝え続けることで、戦後の教会の成長を見てきた。一方、15節の前半部分である『時は満ち、神の国は近づいた』という箇所はどうだろうか」と問い掛けた。
品川氏は、「すでに時は来ている。ただ大震災のことだけではない。2008年が日本の人口のピークとなり、その後人口減少が生じている。少子高齢化の最先端を日本は行っている。いろいろな社会の生き方を考え直さないといけない」と語り、日本の社会情勢の大きな変化を指摘した。
否応なしに生き方を考えなければならない日本社会―十字架の愛が必要
品川氏は、「これまですべて右肩上がりでいくという前提に基づいた年金、住宅ローンというシステムがあるが、日本国民全体はこれから人口減少にある中で、今までのやり方、価値観ではうまくいかない現実に直面するようになるだろう」とし、「誰が見ても今までのやり方ではうまくいかない。生き方を否応なしに考えなければならない時代に直面している」と語った。そのうえで、「人間が考える計画が崩れるときに、聖書の計画が光り輝くのを歴史的にも見てきている。日本は今まで経済的にはなんとかやり通せてきたが、これからはそういう時代ではない」と話した。
品川氏は、「イエス様の贖いと、私たち一人ひとりに生きる意味を与えてくださる主の御言葉は今まで以上に必要とされている。さまざまな宗教、スピリチュアルに関心が寄せられている」とし、「まさに時は来ている。神の国の境目はどんどん広がっている。池に石を落とすと波が広がっていくように、まず私たち一人ひとりの魂に主をお迎えすることによって、私たち一人ひとりの魂から福音の波が広がり、家族や同僚に福音が浸透していく。イエス様の愛を受けたその場所を中心に愛が広がっていく」と説いた。
さらに、「神様の御業は、教会という壁の中ではなく、地域そこかしこで起こされている」と語り、「教会は神様の愛の中心である。教会を通して御業を前進させるので教会は大事だが、その建物の中でしか御業は起こらないわけではない。神様の主権が、教会と思っていなかったところにまで及んでいる。そこに愛が届いて、被災地だけに限らず、日本中そこかしこでご自身の御業をなさっていることをしっかりと認識し、どうすればすでに始まっている神の国の広がりに参与して巻き込まれていくことができるクリスチャンになっていけるのかがとても問われている」と述べた。
最後に品川氏は、「神の国はあなたがたの間にある、とある。教会ではないところに神様の御業が起こされようとしている。いじめなど、社会のいろいろな問題が噴出しており、あり得ないところまで社会が腐敗してきている。十字架の愛がまさに日本に必要とされている」と語り、「すでにその御業は神様ご自身が起こされている。主の御業に心を注ぎ出して、主の器として整えられるようご一緒に祈りましょう」と呼び掛けた。