日本福音同盟(JEA)は、原子力発電の問題に関する理事長声明を発表し、「原子力利用については必ずしもキリスト者の間で一致した理解があるわけではありません」としたうえで、「しかし昨年の原発事故による人と自然界全体への甚大な被害と恐ろしい影響を考えるとき、過去を深く悔い改めることなくして、これから先に進むことはできない」と、これまでの無批判な原子力利用に対する悔い改めを示した。
今月4日から6日にかけて開かれた総会で発表を決議し、27日までにホームページで公開した。JEAが原発問題についての公式見解を示すのは、今回が初めて。
JEAではこれまで、理事会からの付託により、神学委員会と社会委員会がそれぞれの立場から原発問題についての研究と協議を重ねてきた。12年度中には両委員会からの研究結果も発表される予定だ。
声明で安藤能成理事長は、創世記1章28節を引用し、「私たちが神として信じる方は全被造物の支配者であり、全領域はその神の領域」と述べ、「この世界のすべての領域を神学的、社会的課題として取り組まなければならない」とした。
原子力利用については、「簡単に結論付けることには困難を覚えます」と明言を避けたが、「(神が完全なものとして造り上げられた)被造物世界をどのように生活のために正しく用いるのか、ということをはじめから捉え直すことが今、求められている」と述べ、「キリスト者である一人ひとりがこのことについて考え、祈り、行動することができるように期待します」と呼び掛けた。