すみれ時計
-
すみれ時計(最終回)結婚式 星野ひかり
披露宴会場の新郎新婦の座る席 ‘高砂’ に、夫となる人、彼と共に座っていました。私は夢まぼろしを見るように、タキシードに身を包んだ彼と、目の前の幾つものテーブルで料理を楽しむ人たちを見渡しました。
-
すみれ時計(9)一つの体 星野ひかり
礼拝のある日曜の夜は、疲れもひとしおでありました。教会にはさまざまな奉仕がありましたが、私にできる唯一の、そして最も尊いと信じている奉仕は、礼拝に参加することだけでした。
-
すみれ時計(8)いざない 星野ひかり
今週も主の日がやってまいりました。私たちにとっては大わらわの礼拝の日。いつものように寝間着でだらだらと過ごすわけにはいかないのです。1週間で唯一、朝から顔を洗って髪を編み、きちんとした洋服に着替え、朝から大忙しなのですから。
-
すみれ時計(7)十字架の鍵 星野ひかり
朝、まだ暗いうちに起きて、台所の豆明かりの下で神様に祈りをささげていました。窓の外に目をやると、農家が多く見晴らしのいい一帯に、うっすらとオレンジ色の朝日の光が滲み始めておりました。
-
すみれ時計(6)とげのむち 星野ひかり
夫が仕事に出ている早朝から、帰ってくるまで、私は多くの時間をベッドに横たわって過ごしています。体が重くて力が行き渡らないのです。時折、だるい体を引きずって、冷蔵庫のお茶を飲み、お腹がすけばインスタントの食事をお腹に入れます。
-
すみれ時計(5)ユダの星 星野ひかり
朝食の支度を整えて、夫が起きてくるまでの間、花嫁道具として持ってきた古びたエレクトーンを弾いていました。AmとFの4連符を交互に弾いていると、いつしか作った歌がよみがえってくるようでした。
-
すみれ時計(4)真夜中の公園 星野ひかり
夫との暮らしが始まって、早1週間がたっていました。夫は、私を守ることを生きがいとし、私を幸せにすることを自分の使命と神様から受け取っていた、それは珍しいほどに、献身的な人でありました。
-
すみれ時計(3)シロツメクサの冠 星野ひかり
カーテンを下ろさなかった窓から一斉に差し込んでいた朝日のまばゆさで、目を覚ましました。寝ぼけ眼でいたところにフロントから電話があり、ご丁寧に朝食の用意が運ばれてきました。
-
すみれ時計(2)苦役 星野ひかり
ホテルの大きな窓から、ネオンに染まった街の光を見つめました。街はまるで、見えない炎に包まれているようでありました。この世界はもはや愛に冷えきって、真偽の分からぬ情報にまみれ、人の心を惑わし、焦がす炎が降り注いでいるようです。
-
すみれ時計(1)結婚前夜 星野ひかり
今日は結婚式の前夜でした。私は式場のあるホテルが用意してくれた部屋に泊まり、明日の式を待っていました。もうお風呂も済ませ、髪の毛も丁寧に洗って乾かしました。窓からは、赤く街の明かりが灯っては、夜空を染めるほどに色づいておりました。
人気記事ランキング
-
「今、私はクリスチャンです」 ウィキペディア共同創設者がキリスト教に回心
-
神学者トマス・アクィナスの顔、法医学の手法で復元 死因にも新説
-
若者の77%がイエスについて知りたいと思っている 米世論調査
-
国内最高齢の女性映画監督、山田火砂子さん死去 日本人キリスト者の半生描いた作品多数
-
山梨英和大学、パワハラで学長ら2人を「降任」の懲戒処分
-
世界最高齢者は116歳、サッカー好きのブラジル人修道女 長生きの秘訣は?
-
ミャンマーのカトリック教会、大聖堂指定から2週間たたずに空爆直撃 使用不可能に
-
トランプ米大統領、「反キリスト教的偏見」根絶を目指すタスクフォースなど創設
-
花嫁(20)おひなさま 星野ひかり
-
保育の再発見(27)この30年をどう過ごしてきたか
-
「今、私はクリスチャンです」 ウィキペディア共同創設者がキリスト教に回心
-
「こんな悲惨なミャンマーを見たことはない」 政変から4年、ヤンゴン大司教が来日会見
-
国内最高齢の女性映画監督、山田火砂子さん死去 日本人キリスト者の半生描いた作品多数
-
トランプ米大統領、「反キリスト教的偏見」根絶を目指すタスクフォースなど創設
-
後藤健二さん没後10年、追悼イベントで長女が映像メッセージ 「誇りに思っている」
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(1)「苦しみ」の原因 三谷和司
-
説教でトランプ米大統領に不法移民らへの「慈悲」求めた聖公会主教、説教の意図語る
-
山梨英和大学、パワハラで学長ら2人を「降任」の懲戒処分
-
神学者トマス・アクィナスの顔、法医学の手法で復元 死因にも新説
-
「新たなケア」と「限界意識のスピリチュアリティー」 宗教学者の島薗進氏が講演