サウジアラビア・リヤドの郊外で地下教会の強制捜査が1日(日本時間同日)実施され、改宗および改宗活動の容疑でキリスト教徒40人が逮捕された。
同国で宗教的義務の取り締まりを行う勧善懲悪委員会(注)によると、集会を運営していたのはパキスタン人で、祈祷会や洗礼式を主催したほか、伝道活動、病気の癒しなどを行い、集会場に十字架を掲げていた。
リヤドを中心に大規模な取り締まりを行う同委の捜査官サド・アル・ラシュドがAP通信の取材に対して明かした。
サウジアラビアでは伝道・改宗活動が厳しく罰せられるとAP通信が伝えている。
イスラム法を基盤とした法律を採用するサウジアラビア政府は信教の自由の権利を法的に保護せず、自発的な保護も行っていない。国教はイスラム教、国民はイスラム教徒と法律で定められており、政府はイスラム教以外の活動の公開的な実施を厳しく取り締まっている。
同政府はイスラム教以外の宗教行為を非公開の場合のみ容認しているが、法的に保護されていないため当局に一任されており、判断基準があいまいだ。
イタリアに拠点を置く新聞社「アジアン・ニュース」によると、同委は今年に入って非イスラム教集会の摘発に力を入れており、ヒンズー教徒の逮捕者も相次いでいる。
◎勧善懲悪委員会とは
勧善懲悪委員会(The Committee for the Prevention of Vice and the Promotion of Virtue) 執行組織として宗教警察と呼ばれる警察権を持つ政府委員会。現地語でムタワ(Muttawah)。宗教的犯罪を取り締まり、善行を奨励するという名目で設置されたが、反体制運動や非イスラム教宗教に対する不当な弾圧等が日常的に行われているとの報告があり、国連や米国務省などが問題視している。