政府のプログラムがうまく機能しない中で、ベトナムのキリスト教系薬物リハビリ施設が多くの人々の人生を変え、希望を与えている。これらの信仰に基づく施設は、依存症と闘う人々にとって光となり、身体と魂の癒やしは、しばしば一体であることを証明しているのだ。
自身が元薬物依存者だったンゴー・タン・シー牧師は、1996年に神からの召しを受け、依存症に苦しむ人々へのミニストリーを始めた。絶望から信仰へと導かれた彼自身の経験が、その働きの礎となったのである。「人にはできなくても、神にはできる」(ルカ18:27)と述べ、彼は自身の使命について語る。
ンゴー牧師の努力は、「ボーン・アゲイン・ファミリー・レスキュー・センター」の設立につながった。ここでは、聖書の学び、祈り、弟子訓練を通じて、男性も女性も依存症を克服する道を歩む。彼のもとで回復した人々の多くが新たな施設を設立し、現在ではベトナム全土に約60のキリスト教系リハビリセンターが広がっている。
ベトナム政府が運営する、通称「06センター」と呼ばれる強制収容型のリハビリ施設は、人権侵害、強制労働、不十分な医療体制で悪名が高い。そして再発率は80~97%にも上る。一方で、キリスト教系リハビリ施設は完全な自主参加制で、聖書と共同体の支えによる全人的な変革に焦点を当てている。「キリスト教系リハビリの本質は愛です。聖霊の力、神の言葉の真理、そして心の刷新があるのです」と、ンゴー牧師は言う。(続く)
■ ベトナムの宗教人口
仏教 52・5%
プロテスタント 2・0%
カトリック 7・7%
無神論 23・3%
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