米サドルバック教会を創立し長年にわたって主任牧師を務めたリック・ウォレン氏は16日、十字架にまつわる政治的解釈で反発を招いたX(旧ツイッター)への投稿を削除し、謝罪した。
「申し訳ありません。書き方に落ち度がありました。私はイエスが中道主義者だったとは思っていません。彼はそのはるか上に立っています。『私の国は、この世のものではない』(ヨハネ18:36)。イエスは私たちの人生の中心として、私たちの全面的な献身を求められるのです」
ウォレン氏は、問題となった投稿を削除した2日後の投稿(英語)で、このように書いた。
ウォレン氏が11日に行った投稿は、14日に削除されるまで350万回も表示された。この投稿は、イエスが3本の十字架の中央にかけられたことは、イエスが今日の政治的中道主義者であることを示していると示唆する内容だった。
「『そこで、彼らはイエスを十字架につけた。また、イエスと一緒にほかの二人を、イエスを真ん中にして両側に、十字架につけた』(ヨハネ19:18)。両側の男たちは強盗でした。もしあなたが、党派的な動機によって、みにくくされた風刺画ではなく、本当のイエスを探し求めているのなら、どちらの側でもなく、真ん中にいるイエスを見つけるでしょう」
ウォレン氏はこの内容を、イエスと2人の強盗が十字架につけられた画像と共に投稿していた。
この投稿には、クリスチャンからさまざまな反応が寄せられた。その多くは、ウォレン氏が、古代の書物である聖書の記述に、著者が意図していない現代の政治的主張を読み込んでいると主張するものだった。
世界的な説教と教育に関するミニストリーを主宰するジャスティン・ピーターズ氏は、ウォレン氏の聖書解釈を批判し、Xへの投稿(英語)で次のように述べた。
「これは悲しいことに、ウォレン氏の聖書解釈の典型です。これは、聖書解釈学の初日に一笑に付されるものでしょう。基本的な解釈学は、著者の意図に沿うよう努めるものであり、これは著者が言いたかったことでは断じてない。これは恥ずかしいだけでなく、許しがたいことです」
一方、ウォレン氏が批判を受け、謝罪したことを評価する人もいた。
バイオラ大学(カリフォルニア州)でキリスト教弁証学の准教授を務めるショーン・マクダウェル氏は、Xへの投稿(英語)で、「愛しているよ、兄弟。批判を真剣に受け止め、丁寧に対応してくれてありがとう」と述べた。
ライフブリッジ・コミュニティー教会(同州)のケビン・フォスター主任牧師は、Xへの投稿(英語)で、人々がウォレン氏を「あまりにも早く」攻撃したと指摘。「あなたはレジェンドであり、私たちはあなたがキリストの体のためにしてくれたこと、そしてこれからもしてくれることに感謝しています」とつづった。
その一方で、ウォレン氏の謝罪は不十分だと考える人もいた。
ウェスレー聖書神学校(ミシシッピ州)の客員研究員であるロバート・ギャニオン氏は、ウォレン氏の投稿を巡り、米保守派政治誌「アメリカン・スペクテイター」に寄稿(英語)を掲載。Xにも長文の投稿(英語)をし、次のように述べた。
「あなたが謝罪の言葉の中で述べていない真の問題は、民主党が共和党よりもイエスから遠く離れていないという政治的に擁護できない立場のために、神の権威を主張する目的で、聖書について釈義的に弁解の余地のない主張をしたことです。事実上、無制限の中絶と過激なLGBTQという不道徳を2つの主要な偶像とする政党は、非キリスト教的なだけでなく、悪魔的です」
米ウェブマガジン「フェデラリスト」の創設者で最高経営責任者(CEO)のショーン・デイビス氏は、Xへの長文の投稿(英語)で、ウォレン氏の謝罪を批判。ウォレン氏は事実上、保守派キリスト教徒をいじめており、支配的でリベラルな文化的エリート層を偶像崇拝しているとした。
「問題は、あなたが書いた内容ではありません。あなたはよく分かっているはずです。それは、中絶やトランスジェンダーのイデオロギー、子どもの(体の)化学的・外科的切除を神が断罪し、禁じていると正しく理解している保守派キリスト教徒に対する非難でした」
「あなたは、キリストの十字架と、罪の悔い改めとキリストを救い主として認めることによって救われた強盗の物語を、陳腐で『両者の立場に立った』の現代の政治的寓話に曲解することによって、あなたの真の偶像、特に世間とエリート文化的流行の仕掛け人に愛されたいという願望をはっきりと告白したのです」