グアテマラの地理的中央に近いところに位置する人口わずか6千人の町サンクリストバル・アカサグアストランは、敬虔なキリスト者の町長の尽力により、国全体では治安の悪い中、オアシスのような治安の良い町を形成していた。(第1回から読む)
ジャネス・オルドニェスが町長の職に就いた経緯そのものが、彼女に言わせれば「神の働き」であった。彼女は3人目の子どもを妊娠していたときに視力を失った。「視神経を圧迫する腫れがあり、視力が失われました。そのことを聞いた町の人々が私のために祈りに来てくれたのです。人々からの愛と支援があまりにも大きく、私は圧倒されました。私は町の人々になんとか恩返しをしたくて、その方法を見つけると誓いました」
子どもを出産した後、視力はほぼ回復し、彼女は地方自治体で働くことになった。「私は単に町の人々を助けたかっただけで、町長になろうなんてこれっぽっちも思っていませんでした」
2007年、当時の町長が再選を目指して選挙活動を行っていたが、選挙の数週間前に近隣の町を訪れた際に暗殺されてしまった。「私たちは皆、深い悲しみに包まれました」とオルドニェスは語る。「そして、人々が私に候補者になるよう頼んできたとき、私は驚きました。サミュエルと私は祈りました。真剣にこの決断について考え、深く祈りました。それは簡単な仕事ではなく、危険でもあることを重々知っていたからです。しかし私たちは、このチャレンジが神の導きのもと私たちに来たのだと確信しました」
オルドニェスは町長選に出馬し、圧倒的な票を得て当選した。その後、再選を果たし、町民のためにさまざまな政策を実施し、観光や外部からのビジネス誘致の関心を引きつけている。「失業問題は依然として課題です」と彼女は語る。
安全の確保もまた大きな課題である。グアテマラのどの町の町長であっても、地域の支配を巡って争う犯罪組織や麻薬カルテルの標的となるからだ。サンクリストバル・アカサグアストランでは、オルドニェス夫妻の自宅が銃撃される事件もあった。現在彼女は、町を歩く際に武装した警備チームを伴っており、自分の命が危険にさらされていることを認めている。
グアテマラの米国大使館は、模範的な警察署の支援や、国際麻薬・法執行局(INL)の一環として町の入り口や市内全体に防犯カメラを設置するなどの支援を提供している。町長にとって、外部組織からの支援は「素晴らしい祝福」であり、「とても感謝しています」ということだ。
しかし彼女は、町民ともども、サンクリストバル・アカサグアストランの成功が最終的には神から来ることを理解していると強調する。「私たちが成功しているとすれば、それは神の前にひざまずき、神が私たちを祝福してくださったからです」と彼女は語る。「良いものの源は全て神であることを忘れてはなりません」と。(続く)
■ グアテマラの宗教人口
カトリック 53・1%
プロテスタント諸派 41・3%
無宗教 3・5%
土着の宗教 0・3%
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