ギャングや麻薬カルテルの横暴により、無法地帯と化したグアテマラだが、そのような喧騒とは一線を画して異彩を放つオアシスのような町が、同国の地理的中央に位置する場所にある。それがサンクリストバル・アカサグアストランだ。この町が異彩を放つのは、敬虔なキリスト信者の町長ジャネス・オルドニェスの尽力するところが大きい。(第1回から読む)
サンクリストバル・アカサグアストランは、首都グアテマラシティから約2時間の場所に位置する小さな自治体だ。町には小さな生活地域があり、広大な農村地域も含まれている。高い失業率のため、グアテマラ全体と同様に貧困がまん延している。しかし、オルドニェス町長は大きなビジョンを描き、保健、教育、衛生、清潔な水道設備の改善において、すでに大きな成果を上げている。
サンクリストバル・アカサグアストランは、グアテマラで唯一、識字率が100%の町である。地元の教師エドナ・ガルシアはこう報告する。「多くの家族が貧困に苦しんでいます。しかし人々は教育が重要であることを知っているため、子どもたちの教育を最優先にしています」
「ジャネス町長」と気軽にファーストネームで呼ばれることを好む彼女は、定期的に町を巡り歩き、町民の話や要望に耳を傾けるために立ち止まる。町長は若者から年寄りまで、多くの人々から親しまれているのだ。
「私はこの町のほとんどの人を知っています。彼らも私のことを知っています。そして私は彼らと一緒に力を合わせてより良い生活を築いているのです」。これほどまでに精力的に活動できる理由を尋ねられると、彼女はシンプルにこう答える。「神が力を与えてくださっているからです」と。
オルドニェスは、若い頃、この小さな町を離れ、グアテマラシティでひとかどの者になろうと野心を抱いていた。しかし、彼女は今、満面の笑みをたたえてこう語る。「神には計画があったのです」。彼女はサンクリストバル・アカサグアストランを離れた後、大学に進学し、その後ビジネスの分野で働いた。数年後、彼女は都会での生活に疲れ果て、故郷の穏やかな生活と家族との生活に憧れるようになった。そして再び町に戻る決心をしたのだ。
戻った後、彼女は、サミュエル・アローヨと出会って結婚した。このアローヨもまた、地元の町で育ち、サンクリストバル・アカサグアストランに教師として赴任して戻って来た男だ。二人が出会って25年後の現在、アローヨは妻と共に彼女の政策を実現するために働き、あらゆる面で彼女を支えている。
「神は、私たちにこのような形で人々を助け、仕え、不正と戦うための場を与えてくださったのです」と彼は語る。「妻を支え、彼女と共に神に仕えることは私の特権です」と。(続く)
■ グアテマラの宗教人口
カトリック 53・1%
プロテスタント諸派 41・3%
無宗教 3・5%
土着の宗教 0・3%
◇