グアテマラで、敬虔なクリスチャンの女性町長が町を変革するために尽力している。麻薬カルテル、病気、貧困と戦いながら、ジャネス・オルドニェス町長は暴力がまん延する地域の中で、町が安全な避難所のような場所になるよう尽力している。
中米北部では、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラの3国が、いわゆる「暴力の三角地帯」を形成している。この地域の殺人率は、世界の多くの紛争地帯よりも高い。ギャングや麻薬カルテルの所有する私設武装組織は、彼らの意のままに動き、正規の警察組織を乗っ取ったり共謀したりとやりたい放題だ。そのため一般市民の日常を恐怖に陥れている。
数年前の調べだが、グアテマラだけでも54の犯罪組織が確認されている。この地域の多くの一般市民にとって、故国グアテマラで戦々恐々と日々を過ごすよりは、メキシコを経て米国国境を目指して北へ逃げる方が、リスクが低いのだ。それほどグアテマラの日常は危険が伴うのである。
この暴力の渦中にあって異彩を放つのが、サンクリストバル・アカサグアストランという町だ。人口約6千人のこの町は、周囲の混乱とは一線を画した穏やかなオアシスのような場所なのだ。この町を特別なものにしているのは、敬虔なキリスト信者であるジャネス・オルドニェス町長の尽力によるところが大きい。彼女は町民を団結させ、暴力と混乱からこの自治体を守るために活動している。
「ここは非常に特別な場所です」。そう語るのは、オルドニェス町長によって呼ばれて町に来たキューバ出身のエドゥアルド・ガジョ医師だ。彼は効果的な医療システムを構築するために町に招かれたのである。「私たちは人々の生活を改善する機会を得て、それを愛をもって行うことができます。町長は素晴らしい環境を作り上げました」
オルドニェス町長が自分に委ねられた町民を守り支える動機は、彼女の信仰と直接結び付いている。「神が私をこの場所に置いたのは、私が自分に委ねられた人々を愛し、彼らの生活を良くするためです。そのための熱意も、神は私に与えてくださいました」と彼女は語る。(続く)
■ グアテマラの宗教人口
カトリック 53・1%
プロテスタント諸派 41・3%
無宗教 3・5%
土着の宗教 0・3%
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