米大統領選が5日に投開票され、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が当選を確実にした。トランプ氏は6日午前2時半ごろ、南部フロリダ州ウェストパームビーチで勝利演説を行い、「わが国が癒えるのを助けていく」「過去4年間の分断を忘れて団結するときだ」などと語った。
第45代大統領を経験したトランプ氏は、来年1月20日に再び就任式に臨み、今度は第47代大統領として就任することになる。大統領経験者が返り咲くのは、第22代と第24代の大統領を経験したグロバー・クリーブランド氏(民主党)以来、2人目132年ぶり。
米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」(英語)によると、トランプ氏は支持者らを前にした演説で、自身の選挙運動を「史上最も素晴らしい政治運動」と評し、「わが国でこのようなことは一度もなかった」と強調。この運動は「重要な新たなレベルに行くだろう。なぜなら、われわれはわが国が癒えるのを助けていくからだ」と述べた。
また、「わが国は助けを必要としている。本当に助けを必要としている」と言い、「われわれは国境を正し、この国の全てを正していく」と続けた。
第45代と第47代の大統領に選ばれたことは「特別な栄誉」だとし、米国民に感謝を表明。「全ての国民」を代表して奉仕することを誓い、「皆さんのために、皆さんの家族のために、そして皆さんの未来のために戦う」と力を込めた。
また、「強く、安全で豊かな米国を実現するまで私が休むことはない。まさに米国の黄金時代になるだろう」と述べ、今回の結果は「米国を再び偉大な国にすることができる、米国民にとっての素晴らしい勝利」だとした。
7月に東部ペンシルベニア州バトラーで開かれた支持者集会で自身を襲った暗殺未遂事件にも触れ、「多くの人々が、神が私の命を救ったのには理由があると言った。その理由は、この国を救い再び偉大な国へ回復することだ」と述べた。
「われわれは共にその使命を果たすのだ」。トランプ氏はそう言い、「われわれの前に立ちはだかる任務は簡単なものではないが、皆さんが私に託した任務に、私の魂が持つエネルギー、精神、闘志の全てを注ぎ込むつもりだ」と述べた。
そして、「過去4年間の分断を忘れて団結するときだ」と強調。まずは「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」から始めると言い、前職時代から掲げる自身の方針を示した。
トランプ氏の支持者として知られ、日本を含む世界各国で伝道集会を開催している福音派の大衆伝道者フランクリン・グラハム氏は6日、自身のX(旧ツイッター、英語)に「ドナルド・トランプ氏、第47代大統領当選、おめでとうございます。神の導きと知恵を求め、日々神に目を向けることを祈ります」と投稿した。
一方、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を支持してきた「ハリスを支持する福音派」は同日、支援者らに謝意を伝えるとともに、「われわれは神を信じ、隣人を愛し、米国のあるべき姿を信じている」とするコメントをX(英語)に投稿。さらに、「念のため言っておくが、われわれは消えるつもりはない」とも投稿し、活動の継続を示唆した。
「ハリスを支持する福音派」は、フランクリン氏の父で同じく大衆伝道者のビリー・グラハム氏の説教映像を広告に使用し、トランプ氏を信仰面から問題視してきた。これに対しフランクリン氏は、広告は故意に誤解を招く表現をしているとして批判していた(関連記事:ビリー・グラハム氏の孫娘、「ハリスを支持する福音派」集会で動画メッセージ)。
米フォックスニュースがAP通信と共同で実施した有権者調査(英語)によると、今回の大統領選でキリスト教徒は、プロテスタント(有権者の24%)、カトリック(同22%)、その他のキリスト教徒(同19%)のいずれもトランプ氏を支持する人の方が多く、トランプ、ハリス両氏に対する支持率はそれぞれ、60%対38%、54%対45%、61%対37%だった。また、有権者の21%を占める白人福音派(ボーンアゲインを自認する白人キリスト教徒)に限ると、トランプ氏の支持率は79%に上った。