牧師が逮捕された後、モシェンとシミンは伝道を続け、自分たちの家を非公認の教会として解放した(※安全のため、人物の本名は変えてある)。ところがこれが通報され、ある日突然、彼らは12人の警官隊に突入され、激しい怒号が飛び交う中、逮捕された。2歳の娘を含む一家は留置所に連行されたのだった。(第1回から読む)
シミンは執拗な尋問を受けた。「彼らはまず、私を通して他の信者を見つけようとしました。次に彼らは、私が外国の政府とつながっていて、イスラム教やイラン政府を転覆するように、他の人々を惑わすのが目的だと自白させようとしました。でも私は、人々をイエスの愛にただ導きたかっただけなのです」
尋問官は、自分が望む答えを得られなかったので、彼女を脅迫し始めた。「イスラムに戻らないのなら何年もブタ箱で過ごすことになるぞ! そうしたらお前の子どもはどうなるんだ、あん? たとえ自由になったところで、どこにも仕事なんざ見つかりゃしないんだ!」
ひどい尋問の日々は、数日が数年のように感じられた。シミンは夫に2度しか会えず、毎日何時間も取調室で過ごした。彼女がいた留置所は虐待で有名で、シミンは自分の非人道的な扱いに対して懸念を示した。すると取調官は「もっとひどく扱うことだってできるんだ! これ以上されなかっただけありがたいと思え!」と怒鳴ったのだ。
日々の精神的な負担だけでなく、彼女は身体的な問題も抱えるようになった。「私は医者を要求しました。本当に具合が悪かったのです。彼らは人を送ってきましたが、その人は医療用語に詳しくありませんでした。本当の医者だったのかどうか疑わしいです」
シミンには、家族と自分の将来に何が起こるか、先行きは全く不透明だった。彼女には、主イエスを信頼する以外に方法がなかったのだ。心のうちには大きな恐れがあった。しかし、そのような暗闇のただ中でも、不安を打ち消す主イエスの臨在を感じることができた。
「独房には、私と、娘の小さな靴下と、主イエスだけがいました」と彼女は振り返る。それが、彼女に耐えぬく希望を与えたのである。(続く)
■ イランの宗教人口
イスラム 37・2%
キリスト教 1・5%
無宗教 22・2%
ユダヤ教 0・02%
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