主は、かつて10年もの歳月をポルノ業界で過ごし、薬物中毒者になって人生のどん底にまで堕ちてしまった女性をその泥沼から救ってくださっただけでなく、彼女夫妻を「純潔の伝道者」として仕立ててくださった。(第1回から読む)
「デジタルタトゥー」という言葉が世に知られて久しい。インターネット上にタトゥーのように刻まれた彼女たちの「若気の至り」は、決して消去することができないものとして流通している。現代のデジタルネットワーク技術は、安易にポルノ産業に身を投じた若者を、このようにして二度殺すのである。
ある日、復活の主はトマスに現れてこう言われた。「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手を伸ばして、わたしのわきに差し入れなさい」(ヨハネ20:27)と。
罪と死の影響から完全に自由な、復活の主の栄光ある体には、シミもシワもキズもない。しかし主は、あえてその手と足と脇腹に、磔(はりつけ)の傷跡を残してくださった。
主ご自身が、どこにも逃げられない十字架の上に釘付けにされ、どこにも行き場も逃げ場もない彼女たちの人生をその身に背負ってくださったのだ。そして、復活の主の御体に消えない形で刻まれた十字架の傷跡を通して、主は、彼女たちの決して消すことのできない過去や傷跡を、ご自身の体に受けてくださったのだ。
主は今、消去できない過去に苛(さいな)まれる人々に、こう呼びかけておられるのではないだろうか。「たとえあなたに、どのような過去や傷、トラウマがあろうとも、そしてそれらが決して消去できないものであったとしても、わたし自身がそれら全てをこの身に引き受けて、決して消えることのない傷跡としてわたしの体に残した。子よ、故に、全ては洗われ白くされた。安心して行きなさい」と。
そう、主は決して消去することのできないあなたや私の過去や傷を、ご自身の消えることのない傷跡として背負われたのだ。ハレルヤ! 故に私たちは今、完全に自由なのである。
ブリトニーの忌まわしい過去と傷は、今やキリストの愛と真実を証しする、キリストの香りを放つ場所となった。デ・ラ・モーラ夫妻は、今日も世界中を飛び回っていることだろう。その消えない過去が、恵みと希望の御座に変えられたことを証ししつつ。
性がますますカジュアルになる昨今、性産業の被害は深刻だ。それは肉体の領域にとどまらず、魂と霊の領域に及ぶ。全ての人間には深刻な渇きがある。われわれはこの渇き自体を否定しない。否定するのは、誤った方法でこの渇きを満たそうとすることだ。
人が創り主に出会うまでは、決してこの渇きが満たされることはない。これらの渇ける魂が、一日も早く、一人でも多く、イエス・キリストの福音を通して、創り主に出会えるように祈ろう。
世界最大の性産業の温床である米国が、教会により、デ・ラ・モーラ夫妻のようなキリスト者によって変えられるように祈っていただきたい。
■ 米国の宗教人口
プロテスタント 35・3%
カトリック 21・2%
正教 1・7%
ユダヤ教 1・7%
イスラム 1・6%
無神論 16・5%
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