自民党総裁選の投開票が27日、東京・永田町の党本部で行われ、石破茂元幹事長(67)が第28代総裁に選出された。現在、自民党は衆議院で過半数の議席を保持しているため、石破氏が岸田文雄首相の後継として、第102代首相に就任することになる。
同志社の創立者である新島襄から洗礼を受け、後に牧師となった金森通倫(みちとも)を曽祖父に持つ石破氏は、プロテスタントの4代目のクリスチャン。クリスチャンが日本の首相に就くのは、第92代首相を務めた麻生太郎副総裁(84)以来、15年ぶりとみられる。麻生氏は祖母の代からカトリックの家系で、幼児洗礼を受けている。
今回の総裁選には、党史上最多となる9人が立候補。衆参両院議長を除く党所属の国会議員票367票と、全国約105万人の党員・党友票を比例配分する地方票368票を合わせた計735票で争われた。
石破氏は、議員票46票、地方票108票の計154票を獲得。議員票72票、地方票109票の計181票を獲得した高市早苗経済安全保障相(63)に次ぐ2位だった。
高市氏は得票数で1位だったものの、過半数に届かなかったため、上位2人による決選投票が、議員票367票と各都道府県1票ずつの地方票47票の計414票で争われた。
その結果、石破氏は議員票189票、地方票26票の計215票を獲得。高市氏は議員票173票、地方票21票の計194票で、石破氏が逆転する形で総裁に選出された。
石破氏の父である石破二郎は、鳥取県知事や参議院議員時代に自治相(当時)などを務めた政治家。浄土真宗の仏教徒でクリスチャンではなかったが、金森以来、プロテスタントの家系の母が通っていた日本基督教団鳥取教会で石破氏は洗礼を受けた。幼少期は、同教会の宣教師によって始められた愛真幼稚園に通った。鳥取大学教育学部附属中学卒業後、上京して慶應義塾高校に進学。東京では日本キリスト教会世田谷伝道所(現世田谷千歳教会)に通い、教会学校の教師も務めた。
2016年に行った本紙とのインタビューでは、常に心に留めている聖書の箇所として、新約聖書のルカによる福音書18章9~14節にある「ファリサイ派の人と徴税人」の例えを挙げている。イエス・キリストが、自らの善行を誇るファリサイ派の人と、自らを罪人だと告白し神の憐(あわ)れみを求める徴税人の対比を描き、「だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる」と話す場面だ。
また、石破氏はインタビューの中で、「人間のやることは常に誤りだらけ」だと言い、祈るときはいつも「ご用のために私をお用いください」「どうぞ誤りを正してください」と言うのを忘れないようにしていると語っていた。
クリスチャン実業家による宣教団体「日本CBMC」が主催する国家朝餐祈祷会(旧国家晩餐祈祷会)には毎回のように出席し、スピーチをしている。17年の国家晩餐祈祷会では、愛唱賛美歌として、『讃美歌』(1954年版)の7番「主のみいつとみさかえとを」と191番「いともとうとき」を挙げるなどしていた。