エジプトの南に隣接するアフリカ北東部のスーダンで、「破滅的なレベルの飢餓」が迫っているとして、キリスト教国際NGO「ワールド・ビジョン」が警告している。
スーダンでは昨年4月に国軍と準軍事組織による紛争が勃発して以来、新たに700万人もの国内避難民が生じ、それまでにいた国内避難民を含めると、推定で1千万人を超える事態になっている。
食料不安を図る5段階評価の世界基準「総合的食料安全保障レベル分類」(IPC)が発表した最新の報告書(6月27日付、英語)によると、スーダンでは6月から9月の間にフェーズ3「急性食料不安」以上に直面する可能性のある人が、4720万人いる人口の半数を超える2560万人に上る。
このうちフェーズ3に直面する可能性のある人は1630万人(人口の34%)、フェーズ4「人道的危機」は850万人(同18%)、最も深刻なフェーズ5「飢饉(ききん)」は75万人(同2%)に上る。
また、国連児童基金(ユニセフ)の発表(6月26日付、英語)によると、スーダンでは2400万人いるとされる子どもの半数以上、1400万人が緊急の人道支援を必要としている。ほとんどの子どもが学校に通えない状態で、昨年4月の紛争勃発以来、3800人以上の子どもが死亡または負傷した。
さらに、深刻な食料不安と安全な飲料水へのアクセス不足に直面する子どもは、900万人近くに上る。5歳未満の子ども400万人が急性栄養失調に苦しんでおり、このうち70万人以上が差し迫った死の危険にさらされている。
ワールド・ビジョンは、アフリカ東部で近年、飢饉が宣言された国として、ソマリア(11年)や南スーダン(17年)を挙げ、数十万人の命が失われ、子どもたちが栄養不良や農業生産の減少による長期的な影響を受けたと指摘。スーダンの食料不安は紛争だけでなく、気候変動の影響により、この3年間降水量が平均以下になっていることにも原因があるとし、「何も植えたり、栽培したりすることができず、収穫が全く得られない状況」だとしている。
ワールド・ビジョンのスーダン支部で暫定事務局長を務めるジョン・マコニ氏は、次のように話す。
「スーダンが現在直面しているのは記録上最悪の飢餓危機です。支援機関が直面している最大の課題は人道支援へのアクセスが限られていることです。私たちは、最も必要としている人々に命を救う支援を届けるために、障壁のないアクセスが必要です。これ以上の支援の遅れは破滅的な結果を招き、死者を出すことになります。最も弱い立場にある子どもたちとその家族が、紛争の矢面に立たされていることは明らかです」
ワールド・ビジョンはスーダンで活動している最大規模の支援機関の一つで、スーダンでは25年にわたり活動している。昨年4月に紛争が勃発してから今年4月までの1年間に、女性や子どもが大半を占める130万人以上に緊急支援を提供してきた。
日本支部であるワールド・ビジョン・ジャパンは、スーダンを含め世界各国の難民支援のために募金を行っている。詳しくはホームページを。